第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
これは…まるで別人かの様だ…
さっきまでの柔和な彼は
偽りの姿だったのか?
それも…彼はかなり
温厚そうにある風貌だが
弓よりも剣の方が
出来るタイプ…な様だな
「貴方がどこの誰かは知らないけど、
小野寺とみくりは渡さないから」
戦いは…避けられない…のか?
「いや、待て。
話をしよう!無条件に断られると困る。
俺も、スルタンから直々に
命令を受けている身だ。
手ぶらで帰る訳にはならんのだ」
少し 前…
小野寺の元へ父が戻って来て
「あれ?父さんだけ?兄さん達は」
「まずい事になった、
羊もちりじりになったが、狼もだ。
まだ群れの長が残ってる。
今、三人が長を探してるが…
こっちに来るかも知れんからな。
小野寺羊を連れて、移動するぞ。
あっちに一樹達が向かったからな」
父と2人で馬で挟みながら
羊を誘導しつつ
北東の方角へ向かった兄さん達と
合流する事となった
その時に 空が突然明るくなって
大きな火球がひとつ
大きな轟音を立てて流れて行く
「父さん。今の火球見た?
凄い大きな火球だったね…
って、父さん?空が…どうかしたの?」
父が睨むような視線を
空に向けていたので
それに小野寺もつられて
空を見上げると そこには
大きな一際明るい
火球がこちらへと迫っているのが見えた
「そうか、
今夜は…二つ星の降る夜だったか」
二つ星の降る夜…その言葉が
父の口を付いて出て
ざわざわと胸が騒がしくなる
ドクン…ーー
と大きく自分の心臓が拍動して
頭の中で声が聞こえる
呼んでる 私を
呼んでる 声がする
この声は…
「父さんっ!!家に帰ろう!
ダメっ…早く、戻らないと…」
突然それまで静かだった
小野寺が大きな声を張り上げて
「どうした?落ちつけ。小野寺」
「ダメ、ダメなの。このままじゃ…
みくりがッ…、みくりが
死んじゃう…、狼が家に居るの!!
早く、戻らないとっ!!」
そう涙ながらに訴えて来る
その 小野寺の金色をした
右目が輝いているのが見えた
月の光を受けて輝いているのではなくて
その内側から
月の如く… 光り輝く
「父さんの、バカっ、分からず屋!」
「待てっ!小野寺!!」