第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
「実に見事だったな!」
そう杏寿郎が言って目の前の
悠斗が呆気に取られてしまっていた
「…は、え?見事…って?何がですか?」
杏寿郎が地面に転がっている
狼の死体に目を向けると
3人の方へと向き直る
「この夜の闇の中で、全速力の
馬上から、あの距離で矢を射かけて。
7匹とも、急所を一撃だ。
君達の、弓の腕は素晴らしいな!
3人纏めて、俺の元で働かないか?」
「何で俺達が、見も知らずの
お前の下で働かなくちゃならないんだ?」
杏寿郎の言葉に睨むような
視線を向けながら一樹が言って来て
「オイ。さっさと親父と合流すんぞ。
一樹。…まだコイツ等の頭が残ってる。
一番大きかった、アイツがよォ」
そう苛立たしさを隠せない様子で
翔が一樹に対して言って来て
「まぁ。僕も…小野寺が心配だし。
まだ、この群れのリーダーが残ってるけど。
父さんが、小野寺の所には
向かってくれてるから」
「だから。俺は…反対だったんだよ。
小野寺を、連れて来んのはよ」
「翔。落ち着け…俺は、一度家に戻る。
羊が飛散してるし、それに狼の群れも
バラバラになってしまった。今は家には
みくりが一人だけだ。家に残ってるのは
女子供、ばかりだ…。後は任せたぞ」
そう言うだけ一樹が言うと
そのまま家の方角へと
2人の返事を待たずに馬で駆け出してしまった
「あーあー、行っちゃった。
なんだかんだ言っても、兄さん達だって
みくりと小野寺が可愛くて
仕方ないんじゃないの。いつも僕にはさ
2人して、目くじら立てて甘やかすなって
言うのに?それって不平等じゃない?」
そう隣にいる翔に対して
悠斗が不満を述べると
居心地が悪そうに
翔が視線を悠斗と合わせない様にしていて
顔を背ける
「君達は兄弟なのか?」
そう杏寿郎が 目の前にいる
一番人当たりが良さそうな
悠斗に尋ねると
「ええ。そうです。俺達は皆
血の繋がった兄弟なんです。
後、すぐ下に双子の妹と、弟と妹が居ます」
カッと突然に 辺りが
まるで昼間なのかと思う程に
急に明るくなって
空を見上げると
月ほどの大きさの星が…ゆっくりと
空を流れて行くのが見える
普通の 流れ星とは違うのは
一目で 分かる
大きさも明るさもその速度も
まるで 別物だ