第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
それと同時に 言われていた事がある
私は 私達は
二つ星だからって
二つ星は…半分づつだからって
”目”を使う時は必ず
ふたりで同時に使うんだよ……って
その先……何だったっけ?
思い出せない 母様の言葉…
ひとりで”目”を使ったら
どうなるんだったけ……?
みくりが幼い頃に母親から聞いた
自分の持つ 星の目の
金色の目の留意点…
決してひとりで 目を使っちゃいけないって
でも 今は…ここには…
小野寺は居ない…
「お姉ちゃん……」
恐怖に震える卓の声がする
「大丈夫。ここには小野寺は
居ないけど、卓の事はお姉ちゃんが守るから」
母様が守って生んでくれた
彼を 失いたくない
彼は だって 母様の命だから……
お願い…!
小野寺 お願い!
双子だからって 離れていて
意思の疎通なんて出来ないって
そんな事は知っていた
私 今…… 目を使いたい……
答えて お願い……ッ
グルルルル……と
飢えた狼は喉を鳴らしながら
その牙の間からボタボタと涎を垂らしていた
ーーー
ーー
ー
草原を月明りを頼りに
義勇は目の前を走る
羊の群れを追いかけていた
「そもそも、何故…、俺が羊を
追わないとならないんだ?」
あの時は勢いで答えたが
羊を追いかけて馬を走らせる内に
どうして自分はこんな事を安請け合い
したのかと義勇は後悔していた
全てアイツの 煉獄の所為だ
アイツが俺が 夕暮れ前に
見つけたゲルに泊めて貰おうと
言ったのを もう少し先を急ごうと
拒否したのが悪いし
それに 今だって
羊の群れを追いかけようだとか
言い出すんだ アイツは…
いつもこうだ 俺はアイツの
煉獄のペースに巻き込まれて災難に合うんだ
ホラ…やっぱりそうだ
義勇の予感は的中した
羊が急に止まったと思ったら
その向こう側の闇の中に
ギラギラと輝く双眸が見えた
義勇が腰に差していた
剣を抜き取ると構えた
唸り声を上げながら
闇の中から
3匹の狼が飛び出して来る
スゥウウウッ 大きく息を吸い込むと
水の流れが 渦を成して
義勇の身体を取り囲んでいく
ザァアア……
「全集中…、水の呼吸…」