第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
はははははと目の前の
杏寿郎が突然笑い出して
義勇は面食らってしまった
「勘違いをしている様だが、
冨岡。俺は、お前こそが王になる
その資質を兼ね備えていると
俺はそう思って居る。お前には
俺にない才能がある。努力を
怠らない事、そして、それを継続する事。
俺はどうにも、飽きっぽいし
一つの事を継続できん。それにお前には…
物事を静観出来る冷静さがある。
それは俺にはない、お前の才能だ」
「……それが、何だ?
自分の父親でさえ、俺がそれに
相応しくないと判断したんだ。
俺の王位継承権が2位なのは……
それが理由なのだろう?」
「父上が……憎いか?」
「どうせ、俺は…王宮を出る身だ。
憎んでどうこうなる問題でもない」
杏寿郎が空を見上げていて
杏寿郎の裏には月が輝いていた
「なら、どうして…父上はお前に。
俺と共に金の目の娘を探せと
命じられたのだと思う?」
「その娘の選んだ方を、次の玉座に
据えるつもりなんだろう?」
義勇の言葉に杏寿郎がニッと口の端を上げる
「代々王家は太陽の神の化身として、
人々に崇拝されて来た。
その身には人の子に非ざる程の
強すぎるまでの陽の気を持っている。
だが、お前はどうだ?お前の持つ
その気質、そしてその強すぎるまでの
陰の気は、さながら月の様だ……」
「だったら、尚更……俺は
要らない子だろう……、太陽とは無縁の
存在である、俺は…王家には相応しくない」
じっとその太陽の様な目が
俺の目を見つめて来る
「陰陽和合……、光と影、太陽と月、
火と水……、相反する様でありながら。
その二つは同時に存在する事で
交じり合い、調和を生み出す。
義勇、俺はお前は俺にない物を
持っていると俺はそう感じてる。
俺一人で成し得れない事でも、お前とならば
成し得られるとそう信じている」
「お前を玉座に据えると、国が滅ぶと。
お前の顔を見た。先詠みが言ったのは
有名な話だが……。その理由は
その身の陽の気が強すぎる所為だとでも?」
「だから、俺は、お前と俺が
共に国を支えて行けばいいと
そう思って居る。どうだ?義勇」
共に国を支える?
俺を玉座に据えるには
国を支える技量に欠けていて
杏寿郎を玉座に据えると
国を滅ぼすと予言されていた
「ひとりで出来ないのであれば、
ふたりですればいい!」