第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
あまりにもそれは俺が
この髪の色も目の色も
持っている気質ですらも
何一つ スルタンに似ておらず
正反対とも呼べる様な
そんな姿をしているからだ
俺がまだ幼い時に
俺の姿を見たスルタンが
俺に向かって
”お前は本当に俺の子か?”と
言い放ったのを憶えている
疑われても無理はない
その血を引いてると言う証が
俺には何一つ…無いのだから
「義勇……」
杏寿郎が俺を下の名で呼んで来て
「どうした?煉獄……」
「お前は、俺が…嫌いか?」
こいつは何を言っているんだと
義勇は思った
眩しい輝かしいばかりの
才能を持って生まれた
正室の子供である彼と
俺は… 生まれながらに
何もかもが違っていた
5歳になった時の祝いも
俺と彼との時は明らかに
その祝いの儀式にも差があった
要らない子…だと 言われているかの様だ
お前はいい……俺とは違う
周囲からも期待され
お前にはそれに応えられる才能がある
だが 俺はどうだ?
周囲からは疎まれて
期待すらされない
俺が何かを成し得ても
それを誰も褒め称えはしない…
俺が何かが出来たとしても
どうせ 同じ事をお前の方が
要領よくこなしてしまうんだ
「さぁな。…どうだろうな」
「俺は、お前と…義勇、お前と
兄弟で良かったとそう思ってる」
良くもまあ この弟は
面と向かってそんな事を言って来るもんだ
「俺は…、お前と
兄弟でなかったら良かったと思ってるがな」
「父上…の、お考えは…俺にも分からない。
目や髪の色にそこまで拘りになられる理由が。
確かに、義勇。君の母上の身分の事は
あるのかも知れないが……、お前の方が
俺より先に生まれてるんだ。俺は
義勇、お前が……王位を継ぐべきだと
そう思って居る」
その杏寿郎の言葉に
義勇がその整った顔を歪めた
「俺に、玉座が相応しい?お前は
それを……本気で言ってるのか?」
「義勇。怒ればいい…、自分の
境遇の不遇を、不満をぶつければいいだろう?
今までだってそうだ、お前は何も言わない」
「俺が、…こんな俺が。王位を継承する?
ふざけるな!そんな事を誰が望んでいると
お前は言うんだ?この国の誰もそれを
喜ばないだろう?望みもしないだろう?」
こんな風に叫んで
大きな声で不満を言ったのは
初めてだった