第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
「しかし、狼の所為で
羊があちこちにちりじりに
なってしまってるな…。馬で集めるぞ」
そう一番上の兄の一樹が言って
他の2人の兄の意見も
聞かずにそのまま馬で駆け出した
「あっ、こらっ。待てやァ。一樹ィ
ああっ、もう、行くぞ?悠斗」
「はぁ、もう……兄さん達は
気楽でいいよなぁ。小野寺は
ここで、残ってる羊を見ててくれる?
僕達と父さんで逃げちゃった羊、
集めて来るね?まだ近くに狼
居るかも知れないから。気を付けて」
「うん。大丈夫。ちゃんと
気を付けるから。悠斗兄さんも
気を付けて…ね」
そう言って先に行っていた
父さんと2人の兄に追いつく様に
悠斗が馬で駆け出して行った
その頃…
杏寿郎と義勇は草原を
馬で進んでいた
「よもやよもやだ。
そうは思わないか、冨岡
こんな草原のど真ん中で夜になるとはな」
「だから、煉獄。俺は…
今日は諦めて、あのゲルに泊めて貰おうと
そう言ったんだ。それをお前が……って
人の話を聞いているのか?煉獄」
「……どうして、君は
俺と同じ苗字を名乗らない?
俺と、君とは
同じ父を持つ兄弟であるはずだ」
「お前は、俺のこの髪を見ても
まだそれを言うのか?本来であるならば…。
俺は、一介の侍女との間に戯れで
出来た子供だ……、煉獄の姓を
名乗る資格もない…」
じっとその赤い杏寿郎の
太陽の様な瞳が
こちらを見つめていて
その父親である
王と スルタンとよく似た
面差しをした
自分の腹違いの弟の顔を見た
煉獄には 杏寿郎には
苦手な物がない
経験のない初めての事でも
数時間 練習すれば すぐに
自分のモノにしてしまうんだ
どんな武芸でもそれは同じだった
俺が…どれだけ
剣術にしても 他の武術にしても
俺が努力をして出来るようになった物を
あっという間に苦労らしい 苦労もなく
手に入れている様に見えて
疎ましいとさえ…感じてる俺に
眩しいばかりの 太陽の様な
そんな笑顔を向けて来るのだ
そして いちいち
煉獄は俺に話しかけて来て
事がある毎に 俺を馬の遠乗りや
狩りに行こうと誘ってくる