第37章 スルタンコラボ企画 序章 お相手:冨岡義勇
こっちを見て
二ッと小野寺が笑った
「だから、私も…今日が
特別な日になるって感じてたって言ったの。
でも、もうすぐ今日が終わっちゃう。
……でも、私は予感が外れないって
そう、思ってる。父さん達が呼んでる」
行ってくるねと言って
そのまま双子の姉である
小野寺はゲルを出て行ってしまった
家の男衆は出払っているから
家に居るのは義姉と…
幼い兄弟達……
みくりは護身用だと
父から貰った懐剣を鞘の上から
ギュッと胸に抱いた
狼を狩りに行っている間は
私が皆を守らないと……
私が感じた予感は吉兆いい事の予感
そうだったはずなのに
不安が心を支配していた
只の吉兆ではなく
その予感には 凶兆もあると
私の本能が言っていた
「遅れるなよ?小野寺」
馬を走らせていると
一番上の兄がそう小野寺に言って来て
「後から、ゆっくり来りゃいい。
狼を俺達に任せとけェ。
そうだろう?悠斗ォ」
そう言って二番目の兄が言って来て
その意見を三番目の兄に求めた
「翔兄は、お気楽だよねぇ~。
狼が出てるんだしさ、気抜いちゃダメ
小野寺は、僕の後から来てね」
三番目の兄の言葉に
小野寺がむっと顔を顰めた
「馬鹿にしないで、
もう子供じゃないんだから!」
「子供だろ?」
「子供だろォ」
「まだ、子供だよ」
そう三人の兄達が口を揃えて言って来て
それを聞いていた一家の長である父が
「いい加減にしろ。一樹、翔、悠斗」
そう三人を諫めると
ばつが悪そうにして三人共
黙り込んでしまった
羊を放っていた場所に着くと……
妙に…静かだった…
あちこちにある血の跡と
食い散らかされた 無惨な姿になった
羊達が居た
「酷い……この子は、
春に生まれたばかりだったのに」
地面に横たわる
肉と骨の塊になってしまった
その小さな身体を小野寺が
抱き寄せる様に手繰り寄せた
「これが、自然の摂理だ小野寺。
この羊達は家畜だぞ?狼に
食われるか俺達に食われるかの違いだ」
「酷くはねェ、食う為だからなァ」
そんな事は幼い時から
知っている こうして
育てている羊の命を頂いて…
今の私達の命があるのだと…言う事は
目の当たりにして 来たのだから