第36章 聞こえない音 お相手:宇髄天元
「みくり、いいのか?」
それは きっと 初めてと言うのは
この 一回だけだから
後戻りはできないと言う意味なのだろう
「はい、…お願いします…」
最初から
分かってたんだ
多分だけど…
きっと これが 最初で最後…だから
私が 彼に
天元さんに 抱かれるのは 今…だけだ
それに きっと 彼にそうされる事で
私の身体は… 今よりずっと…
ちゅ… ちゅ…と
全身に口付けられてない所が
ないんじゃないかって位に
天元さんが口付けて言ってくれて
「みくり、…綺麗だな」
「違っ、綺麗…なんかじゃ…」
痩せこけて あばら骨の浮いた
胸なんてほとんど 無いのも一緒なのに
綺麗なんて 言える物じゃないのに
綺麗だって 彼が褒めてくれて
愛おしむ様に口付けてくれる度に
ギリギリと胸が締め付けられて
苦しい
こんな 今の私に
そんな風に丁寧に 優しく
愛して 可愛がってもらう程の
事なんて…何も 無いのに…
「んっ、…ふぁ、天元…さんッ」
「大丈夫か?みくり。
無理…すんな、辛いんなら…いつでも」
止めるから…と
彼は言いたかったんだろうけど
スッとその唇をみくりが
自分の指でツンと押して
それ以上の言葉を紡ぐのを止めさせると
ううん…と首を左右に振った
「止めないで…、そのまま。
続けて…?私は、大丈夫…」
その みくりの大丈夫は
大丈夫じゃないって事位は
宇髄自身にも 察しがついていて
小さな胸の膨らみの先の部分を
ねっとりと丁寧に舐め上げれば
「んぁ、はぁ、ふ、ぁあんッ」
何度も 何度も
そうする前に 可愛がって
そうされる事にじっくりと
時間を掛けて慣らして置いた身体なんだ
俺がする事に いい反応を返して来る
「こっち、すっげぇ、ビシャビシャに
なっちまってるじゃん…、
俺の事…、欲しくなっちゃってる?」
そう問いかけられて
欲しいか 欲しくないか
なんて もっと前から欲しかったけど
彼が私に 気を遣ってくれてたから
言い出せないままで いたんだ…
「んッ…、欲しい…よ。
天元さん…と、繋がりたい…、深くッ」
「繋がっちまったら…、また
離れねぇとならなくなっちまうけどな」