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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第36章 聞こえない音  お相手:宇髄天元


次の日には熱も下がって

ベットから起き上がれる様になった

美咲に肩を貸して貰って
ピアノの前の椅子まで移動する

たった3日寝てただけで
自分の足がこんなにも重たくなるのかと

自分の身体ながらに情けない……

スッとみくりがピアノの鍵盤の上に
指を乗せて 押し込むと
指の力もこの3日で衰えているのを感じる

重たいのだ 鍵盤すらが重たい

筋力が低下して行く病だとは

聞いているから知っているけど


出掛けるのはもう諦めた方がいいんだろうなぁ

私の命は…この秋が終わって冬が来て

その冬が春になる頃には

この世にはもうないらしい


私には春は来ないのだ


そう 来ないのだ



「みくりお嬢様お顔の色が優れません、
まだお休みになられた方が…」

「動くのは辛いかも知れないけど、
動いた方がいいって先生も言ってたから」

人の筋肉は使わないと衰える

それは普通だ
だけど私のそれは

人の数倍の速さで進んでいて

ドンドンと筋肉だけが老化してるんだと言う

震えと痺れ それから痛みが来て

柔軟さを失い劣化して行く


しなやかな伸縮が出来なくなり

動かなくなっていく


そんな病気で数例しか例がないから
明確な治療法は分からないのだと言う

自己免疫疾患に使用する
免疫抑制剤の副作用で
私は人より感染に弱い
ただの風邪で済む物でも

命を落とす可能性がある

その薬だって 気休めで使ってるだけで

効果があると立証されている物でもない

指が震える

肘から先にも震えが微かに来てる


進んでるんだ 病気が


私に残ってる時間は 春の前までよりも

短いのかも知れない


ギュッとみくりが胸の上に
当てた手で服を掴むと

再び鍵盤の上に手を置いて

ピアノの演奏を始めた


筋肉の衰えるのを押さえるには
痛い場所を痺れる場所を
出来るだけ動かしなさいと言われた

使えなくなるまでの時間稼ぎになるからと


屋敷の下を通りがかって

宇髄がある事に気が付いて顔を上げた


ピアノの音がする

丸3日ぶりだ 

いつもの時間に
ピアノの音が聞こえないから
部屋の様子を窓の外から伺ったんだ


コイツの親に外出がバレて
大目玉でもくらったのかと

心配してたんだが

昼間にベットで寝てた位だ


体調が悪化したんだろう


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