第9章 酒に呑まれる夜 お相手:不死川実弥
みくりのグラスが空になってるのに
不死川が気づいて
「空いてっぞ。まだ、飲むんだろ?」
「あ、ああ、うん。もらおうかな」
そう言って こっちに来いと
手招きをされて 新しく注いでくれるのかと
みくりが不死川の方へ体を寄せると
グラスを持っていた手首を掴まれて
グイっと身体を引き寄せられてしまって
座っている不死川の膝の上に
乗せられて 抱きしめられてしまった
不死川が冷酒の瓶に 口を付けて
それを含むと
みくりの顎を引いて口移しで飲ませる
ゴクン… と喉が鳴って
入りきらずに 唇の端から零れた酒を
ペロリと舌で舐めとられる
その表情が 凄く いやらしくて
色気をはらんでいて
不死川君のこんな顔…好きだなぁって
「もっと……、飲んどくか?」
とさっきと同じ事を
もう一度するのかと聞かれて
みくりは不死川の問いかけに頷いた
じっと俺の顔を見上げている
みくりの目が潤んでいて
その頬がほんのりと紅潮していて
唇を濡らす その雫が 堪らなく
いやらしくて 俺の雄の部分を刺激して来る
そっとみくりの頬に手を添えて
じっとその顔を見つめると
「やらしー顔してっぞ?誘ってんのかァ?」
と不死川が聞いてきたので
「私がどんな顔してるか、知らないけど…。
不死川君も…えっちな顔…、してるけども?」
と返すと
「みくり、分かってんだろ?」
と催促するようにして
不死川がみくりに言って
これは 要するに
不死川君に 実弥って呼べって
言われている訳で……
そして 私が 彼の下の名前を呼ぶのは…
「嫌か?」
短く不死川が聞いて来て
トサッと抱きしめられていた
身体をそっと畳の上に倒されると
上から 顔の横に手を付かれて
それこそ 凄く何とも言えない顔をされて
見下ろされてしまう
「みくり……、どうなんだよ?」
耳元に口を寄せられて
返事を急かすようにして言われる
そのまま彼の舌が
私の耳の縁をなぞって行くと
ゾワゾワとした感覚が耳から体へ抜けて行く
「嫌……じゃない、けど……」
「なら、どうなんだよ?
……嫌じゃないだけなのかよ?」
いつもはそんな事 聞いて来ないのに
今日の不死川君は
私の言葉を欲しがってる気がする
「まだ、言えねぇのか…?みくり」