第36章 聞こえない音 お相手:宇髄天元
僅かに開いた細い視界に
窓からいつも見ていた町が
自分の下に広がっているのに気が付いた
えええ?どうなってるの?
と言うか…私 今っ
「飛んでるっ???」
「ああ。飛んでる飛んでる。
どうだ?みくり悪くねぇだろ?」
飛んでると言っても
正確には屋根から屋根へと
飛び移っていると言う表現が正しいのかも知れない
直線的に移動するんじゃなくて
ふんわりとした流線形を描いて
屋根を飛び移って行く
「魔法にありますか?」
「いや、これは…移動してるだーけ」
こんな高さから落ちたら
ひとたまりもないと
そう思う恐怖心が心の奥底にあって
キュっと知らずの間に
みくりが宇髄の胸元を掴んでいた
ふっと宇髄がそれを見て口元を緩めると
みくりの耳元に口を寄せて来て
「ちいっとばっか、急ぐから。
そのまま俺の服しっかり掴んでな。
後、顎グッと胸に寄せて引いてろ。
舌…噛むんじゃねぇぞ?」
そう一度に言われて
混乱してるのか
もう一回お願いしますと
言いたげな顔をしてみくりが
宇髄の方を見ていたので
ぷっと宇髄が噴き出してしまって
その宇髄の様子に
むっとみくりが頬を膨らませる
「お前、ホント、お子様だな…。
お嬢様なのは、恰好と顔だけか?」
「えぇ?お子様っ…?それは
確かに、宇髄様の比べれば
私は、子供にありますけども…。
その様に、言われる…のは…」
「心外って言いたい訳ね。
だったら…、お子様扱いじゃなくって。
女の扱いして欲しい…とか?」
そう みくりに対して
問いかけて来るその
表情に 声色に…それまでの
宇髄から 大魔法使いさんから
感じた事の無い様な そんな色気を
感じてしまって
自分の頬に熱が集まるのを感じて
その顔を隠す様にして
宇髄の胸に自分の顔を
ググっと押し付けると
「そそ、上手上手。そのまま、
そうしてろよ?みくり」
そう今度は良くできましたとでも
言いたげにそう宇髄が言って来て
その後 自分の身体に
突如 物凄い圧が掛かるのを感じて
その圧に身じろぐ所か
指の一本でも動かしたら
その指が折れちゃうんじゃないかって程の
風圧を感じて押しつぶされそうな
感覚を覚えた
どうなって…るの?