第36章 聞こえない音 お相手:宇髄天元
「大、…魔法使い様…にありますか?」
そうみくりに 美咲が問い返すと
「うん、凄いのよ。大魔法使いさん。
姿だって、消せちゃうんだから。
えっと、それって何て言うんだったかな?
ああ、テレポーテーション」
思い出せてスッキリしたと
言いたげにみくりが笑顔を向けて来て
「そちらの、魔法使い様のお名前は
何と、おっしゃるのですか?」
お嬢様はこの屋敷の
それもお部屋からは外に出られる事はない
出る用事があるとしたら
受診に行くぐらいだし
受診に出られる際には
私がいつもお供しているのだから
その大魔法使いと言う人との
面識は私には一切ない
「えっとね、天天??あれ?違うな
ああ、分かった!天元。宇髄天元様」
みくりの口から
宇髄天元の名が出て来て
美咲はそのまま 言葉を返せないでいた
「美咲?どうかしたの?」
「いえ、何でもありません…みくり
お嬢様。そちらの宇髄様と仰る方
の事にあるのですが。銀色の髪に
赤い瞳をされておられませんでしたか?」
美咲の口から
大魔法使いさんの
身体的特徴が出て来て
「美咲は、大魔法使いさんを
知ってるの?美咲のお友達の人?」
「いえ、…実際にお会いした事はありません。
お話に聞いた事があるくらいにあります」
その時の美咲の様子が
いつもと違っていたのが
みくりは気に掛ったが
だからと言って
大魔法使いさんと外出するなとは
言って来る事もなくて
そのまま 下がって行ってしまった
変な美咲……
宇髄天元……大魔法使いさん
その白銀の髪に 赤い瞳をしていて
その背中に背負っていた
白い布の巻かれた 剣??だよね?
でもそれが あの時
真っ白な羽みたいに見えて
天使様…が迎えに来てくれたんだって
そう勘違いしてしまった
でも 不思議なんだ
大魔法使いさんは
私が何も言ってないのに
病気の事知ってた
そして 私のピアノ…を
聞いてくれて…た
ここで 弾いてるだけだから
誰にも 聴いて貰えない
美咲と私と父様だけの
ピアノでしかなかったのに
大魔法使いさんは…言ってくれた
私のピアノが聴きたいって
大凡 今の私が弾くピアノなんて
子供の手習い……の様な
そんなピアノでしかないのに…