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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第36章 聞こえない音  お相手:宇髄天元


そう 色んな音だ…

色んな 感情が交じり合った音……

消え入りそうに儚いのに

それでいて 信じられない程に


力強く


生きている…そんな音だった


だから なんだろうなと

妙に納得がついて

この感情を乗せたピアノなら…


「俺に…響かねぇ訳ねぇ……か。
んで?思いついたか?何、遠慮は
いらねぇぞ?何せ大魔法使いだからな!
俺に、できねぇ事はねぇ!
まぁ、俺にもその病気は治せねぇがな」

「いいんです…。これは
私の運命……ですから。この病気に
なった時から、聞いているので。
それは、知っています…治せないし
治らないのだと……言う事は……」

今にも泣き出しそうな音をさせながら

その目からは 全てを

受け入れた様なそんな意思を感じる

ちぐはぐだ……

見てても聞いてても違和感しかねぇな

みくりが自分が自分の両手にある
その赤と黄色の落ち葉を見つめながら

「あの…、どんな…願い事でも
いいのですか?宇髄様」

「ああ。いいぜ?その代わり
俺にまた、お前のピアノを
聴かせてくれるならな、どうだ?
悪い話じゃねぇだろ?乗る?」

そう言ってにやりと
宇髄が悪戯ぽい様な
少年の様な笑顔を浮かべた

「だったら…、このイチョウの木を…
見てみたいです…。私を……ここから
連れ出して…、欲しいのですが…。
あの、…やっぱり無理でしょう…か?」

じーいっとすぐ目の前に
その赤い目があって

まじまじと見つめられる

「いや。俺を誰だと思ってんだ?
舐めてくれんじゃねぇぞ?宇随…」

そこまで言って一旦区切ると
その先を確認されている様だった

「天元…様……ですよね?」

「そそ。俺に不可能は無い!
お安い御用だわ。ちょろいちょろい。
じゃあ、明日。窓開けて待ってろ。
明日のこの時間に、そのイチョウの木のトコ
連れてってやっからよ。じゃな。俺は帰るわ!」

そう言い残すと
そのまま宇髄は二階の窓から
外へと逃げるようにして

飛んで行ってしまって

思わず慌ててみくりが
よろめきながら立ち上がり

その窓の下を見るも

そこには 猫の一匹もいなくて

まるで魔法の様に 宇髄の姿は

そこには無かった


「大魔法使い…、宇髄天元……。
本当に、魔法使いだったんだ…」


驚きを隠せないままで
みくりが呟く様に言った


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