第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
「だが、煉獄…いいのか?
蟲毒を仕組んだ犯人捜しをしなくても」
そう問いかけて来る義勇に
知らないのかと言いたげな顔で
杏寿郎が言って来た
「蟲毒は呪いだ…、呪いが失敗した
際には呪いは、放った者の所へ返る物だ。
人を呪わば穴二つ……とは、
昔から言った物だからな。呪いで
人を殺す者は、呪いに殺させる覚悟を…
しておきなさいと言う言葉だがな」
「俺はあの様な、複数の蟲の蟲毒は
初めて見たが……?相当な腕の
術師の呪いなんじゃないのか?」
「どうだろうな…、蟲で毒とくれば…。
詳しそうな奴が居たな……」
「それ……、持って帰るのか?」
それと義勇が指さしたのは
空になったブドウ酒の瓶に入った
さっきの蟲毒……の蟲だ
「ああ。呪詛に詳しい……人間が
丁度、今日は後宮に来ているからな。
冨岡。予定変更だ。俺は、一旦
後宮に戻る」
「はぁ?お前……ふざけてるのか?
上王廟に行っていた分、
公務が遅れてるんだぞ?当然仕事だ」
そう義勇が不満を露わにして来て
それに対して杏寿郎が
あからさまに不機嫌そうな顔をすると
「仕事は、ちゃんとする。
昼休みを減らしてもいい……。
でないと、胡蝶と話が出来んからな」
その頃…後宮では
みくりは将棋の棋譜と
チェスの棋譜の載った本を
交互に読みふけって積み上げていた
その様子を橘が見ていて
凄い速さで…完読されて行く……
それに みくり姫様の目が
金色に輝いている 月の光の様な
そんな色だ……
パタンっとみくりが本を閉じて
橘の方を見ると
「あの、
お聞きしてみるのですが……橘さん」
「他にも、ご入用の本がありますでしょうか?」
準備いたしますよと橘が微笑む
「その、……夜の、
褥のお作法について書かれた、
蔵書はありますでしょうか?」
ここは腐っても
後宮なのだ
後宮と言う場所は
元来その為にある
後宮に居る女達は皆
その主であるスルタンの物……
彼からの寵愛を受けるには
夜の床でも 優れた女である必要がある
「ええ、勿論…ございますが
では、より愛される女性になれます様に
此方は如何でありましょうか?」
そう言って橘が差し出して来たのは
「これは…インドの方の性典ですよね?
名前は聞いた事があります。カーマストラ」