第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
杏寿郎の妃は伝承の通り10人
揃って居たはずだ
そこに与壱の娘は居なかった
しかし 今 与壱の娘は
後宮に居ると言っているのだ
「父上。折り入ってお願いを致したい」
「何だ、杏寿郎言ってみるがいい。
どうせ、お前の事だ、面倒ごとを
俺にさせようとでもしてるんだろう?言え。」
「彼女は俺の妃にはなれないと、
言っております。
彼女の父がそれを許していない様だ」
「ふん。もういい。みなまで言うな。
そこまで聞けば俺にも分かる。
まぁ、丁度いい、与壱の見舞いにでも
行こうかと思って居た所だからな」
「父上。感謝致します……、
本来であるなら
俺が出向くべき事でありますのに。
俺は、立場上
私情で国を留守には出来ぬ身の上」
そう言いながら杏寿郎が
槇寿郎に深々と頭を下げた
「安心しろ、杏寿郎。
俺とアイツはお前と冨岡の様な
幼少の折より知った仲だからな……。
アイツが何故、娘の後宮入りを
拒んできた理由も含めて聞き出して来てやろう」
そう言ってふっと
槇寿郎が口の端を曲げて
また蟲毒の入ったブドウ酒を煽り
そして床に蟲毒を吐き出した
「しかし、父上ともあろう方が
たかだが蟲毒を見破れぬとは
お珍しい、何か…秘策でもありましたか?」
床の上に転がる芋虫を見て
義勇が声を上げた
「複合蟲毒……、蟲の種類が違う
随分と手の込んだ蟲毒…だ。
複数の蟲毒を作るのにも時間が掛かるし
かけ合わせれば更に、困難な呪いとなる」
ふぅーっと杏寿郎が
ため息を漏らすと
「毒物の次は、……蟲毒か。
術者…であると言う線もあるのか…面倒だ。
冨岡。その言っていた、鼻の利く兵士
急いで、不死川に合流させてくれ。
後…、お前の部下に耳が良い金の髪の
やつが居ただろう?そいつを呼んでくれ」
「…ああ、成程。そういう事だな。
分かった、すぐに我妻をお前の所へ
向かわせよう…だが、いいのか?
竈門ならまだいいが、我妻に関しては
俺は不安で仕方ないがな…」
そのまま上王廟を後にして
また大通りを引き返して
王宮を目指す
直線で1キロもない距離だが
相変わらず通りは賑わっていた
「冨岡、君は不安か?
宦官でもない、兵士を一人
後宮へ送り込むのは。
勿論、彼には女成りをしてもらうがな」
「我妻は使えない奴じゃないが、
すぐさぼるし、その…少々だらしないからな」