第9章 酒に呑まれる夜 お相手:不死川実弥
こうするとは 不死川と手を繋いで歩く事で
別にそれは 嫌でもないのだけども
「別に……、嫌じゃないけども」
「なんだよ!文句でもあんのかよ?」
「な、ないけど」
「なら、このままで、いいだろーがよ!」
そう吐き捨てるように言われて
それなのにギュッと手を握られてしまって
ますます 私は
混乱してしまう
こう言うのは 普通
恋人同士がするのじゃ……
ないのかなぁ?
この前した時 不死川君は
出来てたら貰ってくれるとは
言ってはくれたけども
元々 誰かと
添い遂げるつもりないって言ってたし
あれはあの場での
流れで言ったとか……なのかな?
ピンっとおでこをデコピンで弾かれて
みくりが開いている手で
弾かれたおでこを押さえた
「ちょっと!痛いし、何するのよ!」
「どーせ、お前、しょうもねぇ事、考えてたろ?
変な事ばっか、考えてんじゃねぇーよ、バカ」
「な、何もバカって言わなくても、いいでしょ?」
正直 俺も
コイツと俺の関係は
変な妙な 関係だとは思ってる
お互いに それこそ好意があって
行為だって 何度もしているのに
行為の最中に名前を呼び合って
好きだとも何度も言ってるのに……だ
行為が終わると
何故か恋人同士の雰囲気にはならないからだ
俺が抱きたいと言えば
コイツはそれを断らないし
受け入れてくれる
その逆もだ
コイツから求めてくれば
俺はコイツを抱いて来た
きっと 例えるのなら
遠慮だ
何かに対する遠慮が
邪魔してるんだろうけどもよ
ギュッと繋いでいた手に
みくりが力を込めたのがわかって
不死川がみくりの顔を見た
「大丈夫?痛むの?」
俺が黙ってたから コイツに
変に気を使わせちまったか
「いや、なんともねぇよ…悪い」
「そうなら、いいけど」
きっと 今夜も
この良く分からない
恋愛感情なのか男女の友情なのか
それとも別の何かなのか
自分でも分からない
この感情を抱いて
彼に……抱かれるんだろうなぁと
みくりは考えていた