第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
そう言って槇寿郎からの
返事を待たずに
さっさと話を切り上げて
杏寿郎がその場を後にしようとした時
「お前は俺が…、そんな事を言うのに
わざわざお前を呼んだとでも、
思って居るのか…?杏寿郎」
その言葉にその場を去ろうとしていた
杏寿郎がピタッと足を止める
「だが、……お譲りするつもりはない。
上王陛下…、貴方にはあの陰の気は
制御できますまい。貴方では身を滅ぼす。
かつて……、母上がそうであった様に……」
杏寿郎の言葉に
槇寿郎がふぅっとため息をついた
「お前は……何も知らぬのだな…
杏寿郎…。俺が…聞きたいのは
そんな事ではない。その娘の瞳は
金色をしているのか……?」
ゾクゾクと背筋を
凍る様な冷気が走ったのを感じた
本能で察した
所望……している意味がだ
「上王陛下……いや、父上……。
もしもの話を…、。お尋ねしたいのですが。
彼女の瞳が金であるのなら……、
貴方がお望みになるのは……、
彼女であられるか?それとも、彼女の
持つ…金の瞳にあられるか?」
「煉獄」
隣に傅いていた義勇が
杏寿郎に声を掛けて来た
「(上王様の気が淀んでおられる。
様子がおかしい…)」
そう杏寿郎にだけ聞こえる様に
義勇が言って来て
「(恐らくだが、
あの酒に何か入ってる……)」
操られている……のか?
いつもの様な鋭さがその目にはなく
圧を感じるが…違和感がある
「では、言い方を変えましょう…。
それは…彼女が、
小野寺 与壱の娘にあっても
同じ事を思われますか?父上」
ガタン……槇寿郎が玉座から立ち上がると
自分の口元を抑えた
「冨岡っ!今だ!」
「自分でしろっ!俺の手を
煩わせやがって、後で……憶えて居ろよ?」
スゥっと息を深く吸い込むと腰を落として
自分の腰の剣を鞘毎義勇が手にすると
一足にて槇寿郎との距離を詰め
慌てて義勇に反応して
槇寿郎が剣を抜いて
ヒュンと薙いだのを躱すと
そのまま懐へと潜り込んで
自分の剣を抜かずに
その鞘の先でドンッと
槇寿郎のみぞおちを突いた
そのまま 槇寿郎がその場に
片膝をつくと
そのままゴホゴホとせき込んで
ゴボッ……と先ほど飲んでいた
ブドウ酒を吐き出した
ベシャっと何か
塊がその中にあるのが見えて
そのブドウ酒にまみれたそれが
うぞうぞと蠢くのが見えた