第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
話をしていて
気が付いた事がある
「煉獄、聞いているのか?
聞いているなら、返事位したらどうだ…?」
義勇が苛立たし気に
そう杏寿郎に尋ねるが
忽然と その姿は消えていて
居ない……いつの間に
さっきまでそこの居たのに…?
どこへ行ったんだ?
アイツは自分がスルタンである
自覚があるのか?
他の従者も連れていない
この状況で俺とはぐれる等
「言語道断だ……」
大通りには
店が多く立ち並び
威勢のいい声で呼び込みをする
声が飛び交っていた
そうか……今日は
自由市の日……だったか
月に二度ある 自由市の日は
普段なら 許可や事前の登録が
必要となる露店の出店の制限が解除される日だ
いつもなら 税金が多くかかる
国外からの行商人の出店も
税金が免除される日だから……
当然 多くの店が並ぶし
それを目当ての客も多く集まって来る
あの髪の色は目立つが
同時に 自分がスルタンだと
言いながら歩いているのと同じ事……
はぁーーーっと
深いため息を義勇がついて
自分の頭を押さえると
これは帰ったら
いつもよりも
公務を沢山させてやろうと
そう心に決めた義勇だった
人の波をかき分けて
その姿を探すと
ラクダを連れた
商人の露店の前に
杏寿郎らしき後姿を見つけた
「全く。油断も隙もないなお前は。
こんな所に居たのか?何をしている?」
杏寿郎がその商人に
対して指を曲げたり伸ばしたりしながら
値段の交渉をしている様だった
「ああ。すまない。
珍しい物を売っているのを
見つけたからな!
つい買ってしまったんだ」
珍しいと言っている
杏寿郎の手にある物を見て
義勇はその端正な顔を歪ませた
「珍しいか…?
どこにでもあるだろう?
そんな事よりも、…急ぐぞ?」
「冨岡、…椿の行方は何か掴めたか?」
確かに王宮で話すよりも
ここで話す方が…都合がいいか
「…椿姫の行方は…、不死川が
追っている、鴉からの報せでは…
それらしい情報は掴めていないが……。
もう少し…人を割くか?煉獄」
「あまり、大人数で
動かれるのは困るのだが?
何か…考えでもあるのか?冨岡」
その杏寿郎の言葉に
義勇が口の端を上げる
「この仕事に適任な奴が、
俺の部下に居る。
そいつに……、任せてみないか?」