第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
一握の砂の中に在ったのは
枯れる事のないバラの花……
「浮かない顔だ。
どうかなさいましたか?
その本はお貸ししますよ。お部屋に
お持ちいただいて結構ですよみくり姫様」
そのバラの花の示すのは……
枯れる事のない……愛…
「私は、草原の国の出なので…
本物のデザートローズを見た事が
ないのですが…。本当にバラの花…
みたいなのですか?」
「そんな、価値のある物でも
珍しい物でもないですよ?
砂漠の中で採れる場所なら
割と、ゴロゴロしてますがね?
そうですね、湿地があった場所。
枯れてしまったオアシスの
跡ならゴロゴロしてますよ?」
はいと今度は将棋の本を
橘から差し出される
定石が記されてる本だった
「定石や、棋譜が
お好きの様でしたから。
将棋もその方がいいのかと……」
もう橘の声も届かない位に
みくりが本に集中していて
その前のテーブルに
そっとチェスの定石や棋譜の
本をそこに置いて置いた
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上王である 父の
先代のスルタンの住まう
上王廟へと向かう
その道中で杏寿郎は
義勇から質問責めにあっていた
「あの、地味女は
与壱殿の娘に違いないのか?」
「ああ。如何にもそうだが?
君はそれを何度確認したら
気が済むんだ?
そうだと言っているだろう?」
「しかも……、あの娘は……
金色の目の娘じゃないか……。
それは隠し通せないぞ?煉獄。
後宮に居れば、確かに…人目からは
遠ざける事が出来るだろうが…。
それ以前に…、上王様にどう
説明するつもりだ?」
「父上が……、
彼女を所望する…とでも
お前は言いたいのか?冨岡っ」
気圧されそうな
圧迫感のある気迫を感じて
義勇がすぐに返答を出来ないで居ると
鋭い視線を杏寿郎が向けて来て
「だから、口裏を合わせろ」
「そうやって、お前はすぐ
都合のいい事ばかり言う…、
だが、大丈夫なのか?表立っては
お前が…、金環の王である事は
伏せられているんだぞ?」
「金環の王が生れ落ちて数年後……、
赤い月の輝く夜に…
金色の瞳の娘は生まれる。
俺と彼女は表裏一体……、
俺には彼女でないとならない理由があるし。
それはまた、彼女も同じ事…」
杏寿郎の言葉に義勇が
ため息をふぅーっと付くと
「伝承の通り…ならば、そうなのかもな」