第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
「まだ……、お在りでしょう?」
「何の事だか、私にはさっぱりです」
犬飼の言葉の意味がわからないと
そう言いたげにして
胡蝶がとぼけたようにして答えた
「近づくなと…仰っておいて、
スルタンからの所望の薬を
貴方は卸しに来られたんですよね?」
「あら。心外です。スルタンのご所望は
この国では絶対ですから。
私には、それをお断りできません。
けど……、あの金目のお嬢さんは違います。
それに…私は知っておりますから。
先のスルタンの……王妃が……」
「胡蝶さん、その方のお名前を出すのは
ココではタブーです。私は良くても。
どこで誰が聞いているとも…わからない」
「理由ですよ」
そう胡蝶がぽつりと言って
犬飼からの返事を待たずに続ける
「物事と言う物には……必ず
理由が…ありますから。
それが禁じられるのにも、理由が
あるように…。そう…全てに
理由があるんですよ」
「なら、胡蝶さんのあの行動にも
その理由がおありだと」
妙に納得が付いたと言いたげに
そう犬飼が言った
「見て、……いらしたのですね?」
「そりゃ、胡蝶さんみたいな
美人が居れば……見てしまいますよ」
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「ああ、これはこれは
みくり姫様。本日はどの様な
本をお探しでしょうか?」
書庫に付くと
司書である橘が迎えてくれた
「うん。今日はね」
「分かりました。囲碁の本ですね?」
「ううん。囲碁じゃなくて将棋と
チェスの本……後、金環の王について
記されてる本はあるかしら?」
金環の王と言う言葉を聞いて
橘が顔を顰めた
「確かに貴方は、
変わった王妃様の様だ。
今まで、私は金環の王について
知りたがる王妃様は
見た事がありませんから。
金環の王については、言い伝え
的な部分が多い…だが、言い伝えは
当たっては居ない……」
その証拠に この国は滅んではいない
「まずは、こちらの金環日食について
書かれている本でも読まれますか?
金環日食は、324年に一度。
だが、金環の王は
その周期では生まれていません」
金環日食は…324年に一度あるのに
金環の王はその周期では生まれて居ないと
そう橘がみくりに言って来て
「それは……金環の王が…
吉凶の兆しだからです…か?」
「貴方は知りたいですか?みくり姫様」