第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
痛い位に
突き刺さる様な
そんな視線を…義勇が
向けて来ているのを感じて
私 あの人に凄い 見られてるよね?
「冨岡。
そんなにみくりを見るな。
みくりが減るだろう?」
「煉獄。お前は馬鹿なのか?
見た位で減る訳ないだろう?
煉獄…その、もしかしてと思って尋ねるが。
そこに居る、それが……そうなのか?」
そこに居る それと
義勇の指がみくりの方を差して来て
「そうも何も、彼女が
椿の侍女だった者だが?
今は訳があって、俺の寵姫だがな」
「地味だな。それに普通だ。
煉獄、お前はもう、飽きたのか?」
そう淡々とした口調で言っているが
何となくであるが
凄い失礼な事を言われて居る様な
そんな気がしていて
どうせ 私は地味だし
顔も身体もごくごく 普通だ
「飽きる?何の話だ……冨岡」
「お前の妃達は皆、粒ぞろいだっただろう?
美女には飽きたのかと、俺は聞いている。
だが…確かに顔は地味だが。…俺にも
分かる……、相当だな。お前。名は?」
彼の腰には
剣が差してあるから
彼も武人である事は確かなのだろうが
義勇が今度は真っすぐに
その青い深い色をした
視線をこちらに向けて来て
その深い 深い海の底の様な
月のない 夜の様な
そんな 深い色をした瞳と
視線がぶつかってしまう
みくりの瞳を見ていた
義勇がハッと目を見開いて
その様子を見ていた
杏寿郎がニヤリと口の端を曲げた
「どういう事だ!!
娘は後宮には入れないと
ずっと断り続けていたのは、
嘘だったのか?」
声を荒げる様なタイプではなさそうな
義勇が杏寿郎に向かって
声を張り上げたので
五月蠅いと言いたげな顔をして
義勇に近い方の耳を
杏寿郎が指で塞いで
顔を顰めて言った
「声が大きいぞ?冨岡。
ああ、そのまさかだ。だから
後は直接説明すると言っている。
それに、彼女は正式に儀式も
していないし、何せ与壱からも
承諾も得て居ないんだ……」
今度は杏寿郎の言葉に義勇が
その端正な整った顔を歪めて
怪訝そうな顔をすると
「だが……、妃として娶るよりも。
そいつは、武官にでもするべきでは
ないのか?相当の使い手だろう?」
「話し込んでいる間に、
10分経ってしまったぞ、冨岡
後は歩きながら話そう。
ではなみくり」