第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
ちらっと視線だけを
杏寿郎が倉庫の入口に向けて
「何だ……、誰かと思えば君か。
7分…、後15分後位に来てくれても
俺としては良かったんだが?」
そう入口にイライラした様子で
立って居る 男に対して
機嫌が悪そうな口調でそう言うと
明らかに入口に立って居る
深い青い瞳の男が顔を顰めて
「煉獄。お前は…その15分で
何をするつもり…だ?」
「ん?冨岡。お前もそんな事についに
興味を持つようになったのか…、
それはめでたいな!
赤飯でも用意させるか?」
煉獄…とその 冨岡と
呼ばれた男がなんの遠慮もなく
王族のファミリーネームを呼んだので
それも呼び捨てで…
一体全体 彼は この
杏寿郎とは正反対な容姿の
特徴をしているこの男の人は
何者なのかと
みくりが思案していると
「名残惜しいが、興も削がれた事だしな。
時間が過ぎているのは確かだ。
俺は大人しく、公務に行くとしよう。
では、…今夜も、君の庵に通うとしよう。
みくり。期待……しているぞ?」
そう言って
杏寿郎がみくりにウインクをすると
片手を振って
そのまま
その冨岡と言う男の隣まで移動する
「待たせたな。冨岡、公務に行くぞ」
「待て。煉獄。…今日の公務は
予定変更だ。この後は、上王宮に行くぞ。
上王様がお前をお呼びだ」
上王と言うのは
王位を退位した王の呼び方で
彼の先代の賢王とも呼ばれていた
煉獄槇寿郎は正室を亡くした
精神的なダメージが大きくて
気鬱を患い
今のスルタンにも勝るとも劣らない
部類の戦好きの名も
牙の抜けた 獅子の様に
見るに堪えない姿になったと
噂では聞いているが……
「上王…?父上が俺に?」
「何でも、話が聞きたいらしいが?
心当たりはあるんだろう?煉獄。
もう、あちこちで噂が立って居るぞ?
お前が、大臣達に何もお伺いも立てずに
勝手に、椿姫の侍女を抱えてるってな」
え?それって…もしかして
もしかしなくても 私の事…では?
杏寿郎からの返事を待たずに
義勇が話を続ける
「一体。お前は何を考えている?
まだ、椿姫の行方も知れて居ないのに……
さっさとその侍女を抱え上げるなど、
それこそ言語道断だぞ?」
「落ち着け。冨岡…、これには
深い訳があってだな。父上には
俺から直接説明する。それでいいだろう?」