第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
「なっ、何てことを
なさるのですかぁあああっ!!
全く、貴方と言う方はっ!!」
樽の中に乱雑に入れらた
刀剣達を見て大きな声を
みくり上げたので
五月蠅いと言いたげな顔をして
片目を閉じると自分の指で
耳に栓をして杏寿郎が
みくりから視線を逸らせる
「ちょっと。こちらの刀も剣も
家にあらば、家宝物の一級品に
ありますよ?それを、こんな
乱雑に樽の中にさして保管するなど…」
その一振り一振りの
苦労を労うかの様に それでいて
幼子の頭でも撫でるかにして
みくりが刀剣の鞘と柄を撫でて行く
そして…樽の中に入っている
数多くの剣の中から
一本の剣の柄を握って
その樽の中から引き抜いた
「シャムシール……、こちら
でありましたら、細身ですし
長さ的にも、……重さ的にも
私にも扱いやすくあります…。
スルタン様。こちらを…頂いても?」
そのシャムシールと呼ばれる種類の
美しい湾曲したフォルムが
特徴的な片手剣
その刀身の湾曲する角度は
15度~30度で
あの樽の中にも同じような
湾曲している剣はあるが
彼女が選んだのは
まるで半月の様な弧を描く
湾曲の大きな シャムシールだった
「シャムシールや、他の湾曲刀の
別名は……新月刀とも半月刀とも言う
からな…。月と縁の深い…、君の
血脈とも相性がいいのかも知れんな」
俺の家が太陽との結びつきが深い様に
月や星の流れから 天候を詠んだり
未来を占ったりしていた
彼女の家が… 無意識に
月を連想させる物を選ぶのもまた
自然な通り…とも言えるか……
「元来であるならば、小野寺の家に
生まれる女子は、一族の中でも強い
月詠みの、力を持って生まれます…」
「君が、言わんとしている事は
何となくだが……わかる。
君には…、その本来あるべきその
才能が…ないのだろう?」
杏寿郎の問いにみくりが頷いた
小野寺の家の女子が
月から賜ると言われている
特別な…力
数百年に一度……ひと際大きな月が
空に昇る夜で その大きな月に
赤い陰が降りる……特別な夜に
生を受けた 女子は……
その恩恵を最大に受けるのだと
前に母様から聞いた事があった
でも… 私には
あるべきはずの 持って生まれるはずの
先見の力は 無かった
「お恥ずかしながら……に」