第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
杏寿郎はその侍女がまだ
後宮に居るかの様な口ぶりをしていて
そんなはずはない
だってあの日に私以外の
椿姫様の侍女は…皆暇を出されて
後宮を後にしているはずなのに……
「お暇を出されておられるのでは…?」
「いや、もうひとりいる。
君ではなく、もうひとり。
暇を出した後もなお、
ここに残っている侍女がな……?」
「それは一体…、どう言った
意味にあるのですか?」
「まぁ、後々に分かる事だ。
あの3人の刺客もその内口を
割ってくれるだろうからな」
そう言ってニヤニヤと
不敵な笑みを浮かべていたので
多分拷問とか尋問とか…そんな
類事のなのだろうけどもと思うと
恐ろしくて聞くに聞けず
何も言えずに俯いていると
ぽんとみくりの頭に
杏寿郎が手を置いて来て
「椿の事が…、心配か?みくり
おいで。こっちに来るといい。
ここなら人目にも付かないからな
(この建物の外側…気付いてるか?)」
「スルタン様…しかし
(人の気配があります様にありますが)」
そのまま手をこちらに
伸ばして来てその腕の中に
すっぽりと包まれてぎゅっと
抱きしめられて
背中をよしよしと撫でられる
「みくり。椿の事は
手を尽くすつもりでいる……、
だから、俺に任せるといい。
君は…心優しいのだな……」
スルッと杏寿郎の手が
みくりの頬を撫でて来て
そのまま手を首の裏まで回されると
壁際に押しやられてしまって
そのまま唇を塞がれて
舌を口の中に押し込まれる
舌で舌をヌルヌルと
舐め上げられて行けば
ぞわぞわと背筋が泡立っていく
そこから 溶けて行くような
そんな蕩けそうな口付けに
思わず唇の隙間から
同じ様に溶けたような
そんな声が漏れてしまって
「んっ…ぁ、ふ、……んぅ。
スルタン…様、今は…ッ」
「朝だから……とでも
言いたいのか?君は…
君が椿の事でそんな浮かない顔を
しているのを、見過ごす訳には
行かないだろう?みくり」
首の裏に回された手の指先が
うなじを這って行く
再び熱く口付けられてしまって
「ふっ、…んっ、はぁ、…ッ。
お許し…下さいませ…、スルタン様」
トンと空いている手の肘を
顔の隣に付かれて
すぐ前に杏寿郎の顔がある
「今は…、その呼び方は禁止だ…」
そう耳元で低く熱を帯びた声で囁かれる