第35章 絶対君主の言いなり お相手:煉獄杏寿郎 R-15
こちらを静かに見ている
杏寿郎とみくりの視線が
絡み合ってそのまま見つめ合う
「片桐明日葉と言ったか、
護衛役の侍女が居たはずだが?
君は、知ってるだろう?
椿姫の侍女だったのだから…」
「そうでありましたのであれば、
少々私にも思う所があります。
前に、夜伽の際に椿姫様の
寝所にもあの蜘蛛がおりましたし。
それに、お言葉にあります片桐と
言う名の侍女は椿姫様の侍女には
おりません。スルタン様…あの」
彼女の表情からは焦りの色が見える
「ここは、人目があるからな
もう少し、堪えてくれるか?」
そう言って倉庫が立ち並ぶ
一角にとりわけて厳重な鍵の掛けられた
倉庫の一つの前に立つと
自分の耳飾りを引っ張って
耳がちぎれるかと一瞬心配してしまったが
その飾りが鍵になっていた様で
ガチャリと頑丈そうな鍵を外して
鉄でできた重厚な戸を開くと
みくりに中に入る様に促した
あちこちにある程度の
整理はされているが大量の
さまざまな国の武器が置かれていた
でもその品物はどれも確かな
品質の一級品で
「もしや、ここはスルタン様の
専用の武器庫にありますか?」
「ああ、だが手に余してるのが
事実だからな。好きなのを持って行け。
自分の目と手で選んだ方がいいだろう?」
「どの品物も、確かな一級品にありますね。
こちらに寝かせておくのは忍びなく
あります…。こちらのサイも
とある島国の武術に仕様される物ですね。
ああ、でも携帯性があるので、
サイかトンファー辺りも頂ければと思います。
長物相手でも、これらであれば十分ですし」
「君も随分と、外の国の
それも島国に伝わる武術にまで明るいのか。
サイもトンファーも琉球と呼ばれる
島国の古武術に使われるものだが……」
「あの…、先ほどのお話の続きを
したくあるのですが……その、
椿姫様は…ご無事にあられますでしょうか?
只の出奔にありますか?」
グッと両肩に手を添えられて
視線を合わせられる
「良く聞いてくれ、みくり
椿の行方は追っているが、この件は
内密にしか動けない。大事には出来ないんだ。
だが…、君の指摘の通りに。
椿を暗殺しようとしていた者が
居たと言う事は確かだ……。
彼女に付けていた、片桐と言う侍女…が
何か知っているかも知れないからな」
「でも、椿姫様の侍女には…全員」