第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
「どうなのですか?杏寿郎」
「いや、その…白薔薇に君を
託すのは、些か…気が引けると言うか。
その、変な言い方だが……白薔薇は」
「それは、赤薔薇姫様から、ご注意を
受けました…。それに白薔薇姫様が
そうするのであれば、赤薔薇姫様も
ご一緒であられましょう?」
私の身体を自分の腕の中に
彼が引き寄せて来て
背中をトントンと子供を
寝かしつけるようにして叩かれる
「…なら、白薔薇と赤薔薇に
見張りに牡丹を付けよう。ああ、
そうだ……、君はまだ道場には
行ってないんだろう?明日の朝に
一緒に行こう。君の父上からある物が
届いているぞ?あれは君のだろう」
そう杏寿郎が提案してきて
私の父からある物が届いている?
「時に俺から尋ねたいのだが…、
君は…遠乗りは苦ではないか?」
「遠乗り……ですか?
遠乗りは小さい頃からしておりますし。
苦ではありませんが。何せうちの領土は
東西に広いので、日頃から移動に
馬は欠かせませんでしたので」
みくりの言葉を聞いて
杏寿郎の顔がぱぁっと明るくなる
「なら、聞きたいのだが…」
「何ですか?」
「君は一人で馬に乗れるのか?」
「乗れますが…それが何か?」
「では……、襲歩は?
襲歩(しゅうほ)の馬には乗れるのか?」
「乗れますが…それが何か?
それに襲歩の馬上で弓を引けねば
流鏑馬はできませんよ?」
「…………」
顔 変な顔してるんだけど
私は変な事を言ったのだろうか?
流鏑馬は本来 襲歩の馬上でする物だ
おかしな事は言っていないはず…
「あの、杏寿郎?」
「……正直に言おう。俺は
武芸一般…に秀でているが、
弓だけはどうも苦手でな……」
「私は…一応、武芸一般の
教養はありますが、
剣術はそこまでですが?」
「先日のあの身のこなしで、そこまで?
並みの武官より、君のがよっぽど
腕が立つようにあったが?だったら……
何か…弓は…如何ほどだと言うのか?」
「小野寺の家督…を
継ぐに相応しいほどには。
あえて言うなら…、父と同等位には
でありますでしょうか?」
「それが、本当なら…恐ろしい
腕前の弓の名手と言う事になるが……?」
「ですから、長男がありながらに
家督を私に継がすか父は悩んでいたと
言ったじゃありませんかっ」