第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
「し、白薔薇姫様…私の様な
下女にお触れになられては
なりません……」
じっとその大きな瞳が潤んで
私の顔を見上げて来る
「みくり……ぁ。ダメなの?」
かっ……可愛いっ
可愛い過ぎるッ……
「白薔薇がそう言ってるんだもの。
アンタは大人しくそうされてなさいよ」
顔立ちは同じなのに
若干釣り目なせいか気が強そうに見える
赤薔薇姫がそう言って来て
いや でも白薔薇姫がそうしたいと
仰られていて
それで赤薔薇姫がそうされろと
仰るのであれば
ご命令に従わない訳には…
「でも……、アンタのお陰で
白薔薇は無事だったんだし……、
礼ぐらい言わないでもないわ。ありがと」
「みくり。ありがとう。大好きっ。
貴方が居なかったら、どうなって居たか…」
スリスリと白薔薇がみくりの
身体に甘えるようにすり寄って来て
いい匂いがするし可愛いし
どうしたらいいのか分からないけど
幸せなこの状況をどうすればいいのかと
困っていると
「ここは廊下の真ん中ですのよ?
白薔薇に赤薔薇何をなさっておいでなの?」
別の王妃が後ろからやって来て
その異様な光景を諫めてくれたお陰で
白薔薇姫からは解放されたので
えっと確か このお方は
第4王妃の 鈴蘭姫様……
落ち着いたしっとりとした雰囲気のある
大人の雰囲気を持った王妃様だ
確かスルタンより年齢も年上で
4歳上だったか……
となると…28になるから
もう少しすれば お褥滑りになる年齢だけど
その美しさは……陰りもなく
他の王妃に達に見劣りする事は無かった
「あの、鈴蘭姫様……、
ありがとうございました」
そう小さな声で礼を言うと
「礼を言うのは、私の方…
貴方があそこに居なかったら…
今頃白薔薇はここに居なかったかも
知れないもの。あの子達の事は
妹の様に思ってるから、
私からも礼を言わせて?」
「勿体ないお言葉……、ありがたき
幸せにあります……」
とついその鈴蘭姫の持つ
高貴な佇まいに
ついつい侍女の時の癖が抜けずに
頭を下げて傅いてしまった
くすくすくすと声が上からして
みくりが見上げると
鈴蘭姫が目に涙を浮かべながら
笑っていて
「貴方…、面白い人なのね。
まるで侍女か何かみたい……」