第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
スルタンの夕食が始まった
長いテーブルの上座に
スルタンがこちらを
向く様に座り
その両サイドに
それぞれに5脚ずつ
椅子が並べられていて
形式にならってなのか
ここでは上から
第一王妃 第二王妃とと
並んで座る様になっている様で
三番目の座席には
第三王妃の 菖蒲姫が
その向かい側の席に
先程の第四王妃の 鈴蘭姫が
そして…
菖蒲姫の隣には
第五王妃の撫子姫が腰を掛けた
その順番であるなら
撫子姫の向側に
こちらに満面の笑みを浮かべて
手を振りながら白薔薇姫が着いた
撫子姫の隣には当然赤薔薇姫が着く事になり
この場に来ていたのは
この顔ぶれだけで……
後の王妃は顔を出していないようだった
その末席の席の椅子を引かれて
その椅子にみくりが腰を降ろした
「集まったのは……
今朝の顔ぶれ…だがな。
急な招集だったのに、
良く集まってくれたな。
とりあえず…、乾杯でもしよう」
そう言って給仕役の侍女達が
それぞれのグラスにブドウ酒を注いでいき
それが全員に行きわたったのを
確認すると
「では、乾杯を……」
杏寿郎がグラスを手に取って
それに続いて王妃達が
それぞれの手にグラスを手に取った
ふわっとそのグラスを持ち上げた時に
広がる芳醇な香り……
その香りが気になってしまって
思わずグラスに鼻を
みくりが近づけたのを見て
周囲の王妃達が驚きを
隠せない表情でそれを見ていて
「みくり。まだ……乾杯を
していないのだが……?」
「あ、あ、あのっ……いいのですか?
これ……、頂けるんですよね?」
そうみくりが自分のグラスを
空いている方の手で指さした
「もしやと思って用意させたが…、
その様子を見るからに。飲むまでも
なく…、気が付いた様だな。
ああ、勿論。気に入ったのなら……
何杯でも飲むといい」
「きゃ…っと」
思わず悲鳴を
上げてしまいたくなったが
みくりが慌てて自分の口を塞いだ
これは……恐らくだけど……
5年前のブドウ酒で
この年の南の産地のブドウは
この150年で最高の出来と
呼ばれていた言わば奇跡のブドウ酒…だ
価格も高騰しているし
この一杯だけでも…と
その価値を想像するだけで
ゴクリと思わず固唾を飲んでしまった