第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
杏寿郎が一糸纏わぬ姿となって
ザバザバと蓮池の中に入って行く
出来るだけ……その部分は
見ない様に……しつつ
長い柄のついた柄杓で
滝の部分から水を汲むと
池の中に居る 杏寿郎の
額にチョロと水を掛けると
額から始まって五芒星を描く様にして
左の手の平 それから右肩
そして左肩……右の手の平へと
順番に水を掛けて行く
そして 再び 額に
最初の時より多く水を掛けると
彼が両手を合わせて差し出した手に
柄杓に残った水を注いだ
その 自分の手の平に溜めた水の
水面に……太陽の姿を映し落とすと
グイっとその水を飲み干した……
蓮池から上がって来た杏寿郎に
傍らに用意されていた
タオルを差し出すと
彼が穏やかな笑みを浮かべてそれを受け取った
「これ以上時間が経つと……
あの窓から太陽が差し込まないからな……。
儀式をし損ねる所だったぞ。助かった」
水の曜日のこの時間と
儀式が決められているのは
その滝の上の石のレンガの積みあがる
レリーフが施されたアーチの中央に
太陽の形にくり抜かれた窓があり
その窓から太陽を自分の手の
水鏡に映して体内に取り込む事で
その太陽が体内の穢れを焼き尽くすと……
そう 言われているからだ
「どうした……?なぜこちらを
見ようとしないんだ?」
「いいですから。身体を拭いて
早く服を…お召しになって下さいませ」
「見ても…構わないが?
減るもんでもあるまい…」
「見ませんし、見たくありませんっ……。
しまって…下さい…。それを…」
それから面白がって
なかなか杏寿郎が服を着たがらなかったので
無理やり服を着させて
公務へと送り出した
ーーー
ーー
ー
それから 遅れて運ばれて来た
朝食を摂取する
薬膳粥は美容にも健康にもいいし…
後宮の王妃達の朝食にも良く出されて
居るのを私も見た憶えがあった
ん?待てよ…これ…
そうなのだ
スルタンは妻に優劣を付けないのだ
後ろに控えていた
私付きの侍女に尋ねた
「あの、…お聞きしたいのですが……」
「はい、なんでございましょうか?
みくり様」
「この、薬膳粥って…他の王妃様達が
お召し上がりになられている…のと」
「勿論、同じ物にございます……」
クコの実とアワビの入った粥は…
美味しかった… とても
