第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
「訂正をしてもらおう…か。
あの言い方は語弊があるからな。
俺があまりにも激しかった?
俺が激しいのは
いつもの事だが…?」
その杏寿郎の言葉に
少し離れた場所に居た他の王妃達も
彼の夜の姿を知っているから
顔を真っ赤に染め上げてしまって
中には震えながら泣き出しそうな
顔をしている王妃もいて…
今の発言の内容その物が
あらぬ誤解を更に周囲に招いている
この状況に……気付いていないのか
「貴方様のいつものお姿など……、
私は昨日の夜が初めてでしたのに…。
知っているはずもあり得ません……ので。
スルタン様はいつも、あんなにも
情熱的で激しくあられるのですね?
でも激しく責め立てながらも、
その中に、こちらを惑わせる様な…
甘い罠も混ぜて来られるのに?」
「いい加減にしてもらおうか。
何なら今からでも構わないんだぞ?
みくり。昨夜は俺は君に
良い様にされて、翻弄させられっぱなし
だったからな……。あのままでは
終わらせられん…」
そう更にこちら側から
周囲に誤解を与える様な
そんな言い回しで返すと
あっちはそのつもりがあるのか
無いのかは知らないが…
「でしたら……、今夜は……
私の方から……
貴方様が音を上げるまで。
たっぷりと、
攻めさせて…頂くと致しましょうか?」
攻め碁はあまり得意じゃないが
定石としては記憶にあるし
祖父はそうでもなかったが
父は攻め碁が得意だったから……
「成程…、昨日よりも
今夜は……熱い夜になりそうだな…。
無論。今夜は眠らせる……
つもりは、ないぞ?みくり」
「スルタン様にお喜び頂けまして、
身に余る光栄にございます……」
カサッ……
と何かが蠢くそんな音が聞こえて
気が付いた時には
すでに身体が動いてしまった後だった
咄嗟の事で判断が付かなかったが
椅子の上で杏寿郎の口付けで
のぼせあがっていた白薔薇姫の
衣に毒蜘蛛が這っているのが見えて
それに気づいた時には
遅かった
ああ やってしまったと
そう思った
彼がそれに反応して腰の短剣を抜くより先に
みくりの投げた簪が
その蜘蛛の身体を貫いて居たから
身体を簪に貫かれた毒蜘蛛を見下ろしながら
ふむと杏寿郎が顎に手を当てて
何かを考え込んでいる様子だった