第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
後…それから
私の後ろに控えているのは
2人の侍女で
その侍女達は 他のスルタンの侍女が
下がったのにも関わらず
下がる事がなくその場に待機していた
これではまるで この2人は
「何なりとご申しつけ下さいませ。
必要な物があればご用意させて頂きます」
必要な物がないかと
そうひとりの侍女が尋ねて来て
「いえ、特に…は
私の荷物は全てありますし…」
「スルタンより、
申しつけられておりますので。
みくり様のご入用な品物があれば
準備をする様にと…」
「ご準備が整いましたら…中庭へ。
もうすぐ、禊の儀のお時間にあります」
「え?禊の儀の時間の中庭に
立ち入れるのは、スルタンの妃のみ
一介の侍女が立ち入る事は
許されてはいないはず…では?」
「しかしながらに、スルタンより
みくり様は椿姫様の代行であると
仰せつかっております」
ああ そうか
私が事の責任を取ると言ったから
スルタンの意思に従いますと
言ったから……か
行方不明になった椿姫様が
お戻りになるまでの期間
私に……王妃代行をさせると
あくまで代行であるから
この本来なら下妃の庵を
私に与えたと
そこまでのスルタンである
煉獄杏寿郎の考えは理解が出来たのだが
「ご準備が整いましたら、中庭に」
そう淡々とした口調で言われて
中庭へ行くようにと促される
この後宮は石造りで
床も壁面も切り出した石で出来ている
当然中庭も同じ大きさに整えて
切り出した石で整えられていて
周囲を他の建物に囲まれている
蓮池と言っても
その池も長方形に整えられた
石で出来ており
上から滝の様に
湯気が微かに上がる温泉が注がれていて
上から段差を持ちながら
下へと3つに区切られている
その池のあちこちに
水連の鉢があり
ぬるくしてある温泉の温度で
蓮の花が一年中咲き乱れている
楽園の様な
色とりどりの蓮が浮かぶ
そんな光景が広がっていた
スルタンは……と言うと
一番上の池に注がれる温泉の
滝を背にして
寛ぐための椅子にゆったりと
腰を掛けていて
その両脇には
双子の王妃である
第6王妃の白薔薇姫と
第7王妃の赤薔薇姫の姿があり
それぞれに手には大きな
孔雀の尾羽で出来た
団扇を持っていて
ゆったりとした動きで扇いでいた