第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
手籠めにする……のであれば
同意のあるなしも
さることながらに
そうするのであれば
スルタンの言葉通りに
私にそう言った類の知識のあるなしは
関係ないと言う事になる…
「君は……、こんな時に考え事か?
この状況で、そんな事を流暢に
している場合ではないと思うがな。
どうする?大声を出すか?それとも…」
「ここはスルタン様の後宮に在ります故。
貴方様のお望みとあらば…、それは
そうなのでありましょう……」
じっとその杏寿郎の赤い瞳が
みくりの顔を真っすぐに見下ろしていて
その赤い目の炎が…
揺らいでいるのが見えた
スッと自分の縫い付けられていた
両腕に自由が戻って来て
「興醒めだ……、君はつまらんな」
「良く言われます。
何せ…、無能な侍女にございますので。
私などは、只の端女にあります。
スルタン様がお召しになる様な
価値もある様な物にありませんので……」
炎の様な熱い視線から
冷ややかな視線へと変わる
静かに
見つめられているのが分かった
「なら、聞くが…君は本当に無能なのか?」
「無能にありますが、
夜伽もろくにこなせませんので」
そう言ってみくりは
床に手をついて頭を垂れた
「夜伽は床を共にするだけの
意味ではないだろう?
そちらの意味の夜伽を見逃す…
代わりに、君が俺を楽しまる事は可能か?」
共寝を見逃す代わりに…
俺を楽しませろと
杏寿郎に要求されてしまって
そうは言われても
私は歌は調子外れの音痴だし
踊りもあまり上手くはなくて
踊ればどうもギクシャクとしてしまう
だからと言って
琴や三味線が上手い訳でもない
そう思うと
自分がますます無能だと
そう感じてしまって
どうした物かと
その要求に みくりが頭を
悩ませていると
スルタンの部屋の隅に置かれている
ある物が目に入ってきた
ああ これならば……
「そうでありますのならば…、一局……」