第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15
「では、君には…
俺の意思に従って貰おう」
そう言ってそのまま
杏寿郎は部屋から出て行ってしまって
出て行ってしまったかと思うと
今度は侍女が数人やって来て
見慣れない顔ぶればかりだったから
この侍女達はスルタンの侍女なのだろうけども
そのままグイグイと腕を引かれて
抵抗する術もなく
身にまとっている物を全て剝ぎ取られて
そのまま湯殿へと連行されてしまって
自分で洗えると言っても
侍女達は淡々と落ち着いた様子で
自分の仕事をこなしていて
私の身体の隅々を洗われてしまった…
髪もふんだんに
温めた香油を上から
惜しげもなくかけられてしまって
この香油の香は
先程スルタンの身体からしていた
香油の香りだと気が付いた
良く分からない内に
全身磨き上げられてしまって
髪を乾かされつつも
全身に光る粉の混じった白粉をはたかれる
この仕事は
私も椿姫様にしていたから知っているが
真珠を砕いた粉の入った白粉……を
全身にはたくのは
それは つまり……夜伽の…所望があった時で
そしてどうして
今 そんな高級な香油をふんだんに
使った洗髪をされて
更に高級な真珠の粉のおしろいを
全身にはたかれてるのかって事……
そして仕上げるかの様に
纏わされた寝巻きは
今まで身に着けた事が無い様な
透け感のある極上の織物で
編まれていて
光に透かすと繊細な模様が浮かぶ
わぁ…凄い… 綺麗…な 織物……
そのあまりの織物の美しさに
うっとりと眺めていると
知らぬ間に回りには侍女の姿はなく
それにすら気が付かずに
みくりは自分の着ている寝巻きを
真剣な表情で目を輝かせながら見ていて
杏寿郎はその様子を
そのままぼんやりと眺めていた
正直……顔はそれなりだし
身体もそれなり…な感じだ
国中からかき集めた
選りすぐりの美女である
他の妻達からすれば
みくりの見た目はかなり
見劣りすると言えようか…
普通…だな そう普通なのだ
驚く程に普通だった