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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第33章 絶対君主のお気に入り お相手:煉獄杏寿郎 Rー15


人の気配を感じ取って

思わず みくりは
部屋の隅の柱の陰に身を隠す

外から閂を外す音がして

部屋の中に入って来たのは

スルタン……ただ ひとりで

他の従者の姿もなく

その手には籠を持っていて

服装だって 公式な場での
衣装を脱いだ 腰布一枚だけの

かなり ラフな服装だった

入浴を済ませたのか
香油の匂いが漂っていて

まだ髪の芯が濡れているのか
ペタンっと癖の
落ち着いた髪型になっていて

勇ましい獅子のたてがみの様な
雄々しさには欠けるそんな印象を受けた

何もない部屋に

似合わない位の大きなベットが
部屋の隅に配置されていて

幽閉する部屋にしては

ベットが豪華すぎる様な
そんな違和感を感じては居たが

その寝具も従者が使う寝具に
使う様な物ではなくて
上質の絹で出来ているのには
気がついて居たのだが……

何も言わずに
こちらに視線も向けずに

スルタンである
煉獄杏寿郎は

そのベットに寝転がって寛ぎ始めて

どうしたらいいのか

わからずに 立ち尽くしていると

籠の中に無造作に積まれていた
果物の中からブドウを取って
自分の口に運ぶと

空いていた方の手で
籠の中からリンゴを取ると

みくりに向かって投げつけて来て

みくりがそれを
受け止めるのにバランスを崩して
よろめきながらも落とさずにリンゴを

受け取ったのを見て

ほんの僅かにだけ
口の端を上げたのが見えた

って笑われてる?私っ……


「……無能な侍女…と言うのは君の事か?」

無能……と言われて
その言葉がグサッっと胸に鋭く刺さった

「むっ、むっ、無能、無能…、ううっ
それは…、お恥ずかしながら否定は
出来ませんです……、私は…っ」

無能な侍女と言うのは

私の主である 椿姫様が

私に付けた あだ名だ

そこでようやく

自分に視線が向けられていると

言う 現実に気付いた

そう 見られているのだ スルタンに

でも 事の真相についての

質問をしてくる気配すらなくて

そんな私を尻目にしながら

ブドウをもう一粒手に取ると

そのまま口に運んだ



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