第32章 地味な俺の地味じゃない彼女 村田さん
でも…今はただ…
ちゃんと証拠が欲しいって
そう…思ってて
それに 私の事…気遣ってくれていて
やっぱり 村田さんは村田さんだし
私は 村田さんの
そう言う所が好きだから
口付けなら…何度もしてるし
その…口吸いだって した事があるのに
そっと 遠慮する様に
唇に押し当てられたその感触では
到底… 私が望んでいる事には足りなくて
「んっ、……村田…さんっ……」
彼が 欲しいと言う感情を
急いてしまいそうになる
ちゅ ちゅっと唇だけじゃなくて
瞼や額から 頬や小鼻に
短い口付けを落として来てくれて
その小さな 繰り返される口付けから
村田さんの… 私の事を思ってくれてる
大事に感じてくれてるんだって
言う気持ちが…伝わって来るみたい
それを想われてるんだって
嬉しいなぁって思う気持ちがあるのに
もっと もっと欲しいって
欲張りたい気持ちが勢いを増して来て
「むっ、……村田さん…ん、
わ、私……、どうしちゃったの?
おかしい……の、変。
変なの…どうして?」
自分の中にその気持ちを
抑えて留めても置けそうになくて
今すぐにでも……
欲しいと強請りたくなるような
そんな 情動にも思える そんな感情に
自分が支配されて行くみたい
「変じゃないよ。みくり。
みくりが感じてる感情は、
別に変じゃない。
俺だって、感じてる…」
「嘘。だって、…村田さん……。
今、凄い落ち着いてる…のに?」
これじゃあまるで 自分だけが
どうしようもなく
なってしまちゃてるみたいだ
よしよしと頭を撫でられる
「じゃあ、みくりは、どうしたいの?
俺に、どうして欲しい?」
望んでいる事は何かと
そう確認を取る様に言って来て
「口付け…、もっと
ちゃんとしたやつ……がいい」