第31章 年上の彼女の憂鬱 お相手:冨岡義勇
「すっ、すいませんっ……お嫌……で
ありました…、でしょう…?」
「違うっ。そうじゃない…、
俺が……言いたいのは
そうじゃなくて…、握って欲しい……、
そこじゃなくて…俺の」
そのまま一旦自分の方へ引っ込めた手を
手繰り寄せられてしまって
きゅっとあくまでも
そっと指と指を絡まされて軽く握られる
その力の込もり具合と
同じ様にだけ
自分の胸がきゅっと
締め付けられるのを感じて
ズキズキと痛み始める
「でも……、その様にされてしまっては、
足りなくなって、しまいます。
冨岡さ…んっ、んん゛っ」
そのまま繋いだ手を手繰り寄せられて
義勇に唇を塞がれてしまって
先ほどまでの遠慮しがちな物とは
別物の様なそんな口付けをされてしまって
「俺も……、
足りないと…思っていた所だ。
あげは……が、足りないと、
もっと感じたいと。
俺の…、考えている事が、分かるのか?」
「んっ、…ふ、ぁ、…っ、
はぁ、…冨岡さ……っんっ」
「……冨岡……ではなくて、
呼ばれたい。
そっちではない方…で、……んっ…あげは」
下の名前で呼ぶように促される
そのまま 唇を挟まれて食まれると
食べられてる…様な そんな錯覚を
憶えてしまって……
食べられてる……様な気すらして来て
でも 食べられたいと
彼にそうされたいと
願っている自分が居て……
自分の中に次々に起こる感情が
どうにも騒がしい
もう どうにか…なってしまいそう…っ
ギュッと絡めた指を握らると
胸がギュッと締め付けられて
口付けている唇から甘い痺れが生まれる
「んっ、はぁ、
…義勇っ…さんっ、…あっん、ふ、ぁ…」
でもそんな 唇を食べられる様な
そんな口付けなのに……
でも 舌を押し込んでくる様な
そんな事はなくて
そんな 口付けなのに
熱くて…
そう 熱くて…
自分の芯が熱を帯びるのを感じる