第31章 年上の彼女の憂鬱 お相手:冨岡義勇
でないと
うっかり私からの返事を忘れて
寛三郎が戻ってしまって
手紙を郵送する羽目になる事も
しばしばあったから
このクルミは私なりの対策だ
「オオッ!クルミジャ。
ワシノ好物ノクルミジャ」
そう言って毎回
喜んでクルミを食べてくれている
寛三郎を見るとほっこりとするが
本当に彼で…… 大丈夫なのかと
少々心配にもなるけど…
カサッ……
足に括り付けられていた
手紙を外すと
その日付が3日前だったので
単に彼が届け先を間違えたか
はたまた届けるのを忘れたか
そのどっちかだろうけど
先日の任務で負傷したから
数日 蝶屋敷で療養し
それから こちらへ来ると
そう書かれていた
ん?んんっ?
私はある事に気が付いた
この手紙の日付は3日前
彼からの冨岡さんからの手紙に
書かれている こちらへ来ると言う日付…
カレンダーを慌てて確認すると…
今日!!今日じゃないのっ!!
「ちょ、寛三郎さんっ、
ああ、せめて昨日の時点で、
これを頂戴したかったわ。私……」
「手紙ノ返事…ヲ」
「返事はしませんっ、
そして、貴方もここに居て下さい。
彼の方がこっちに来ますから、
一緒にお立ちになればいいですわ。
ああ、こうしては居られない、
掃除…、お掃除しないと。
軽くだけでもしないと、せめてでも。
夜だから、
掃除機使えないけど……軽くだけっ」
そう慌てて
バタバタと慌ただしく
部屋の中を整えて
軽く箒で掃いていく
「みくりハ、騒々シイ…女子ジャノ…」
いや もう 悪かったですね
騒々しい 女でっ
ああもう こんな事だったらと
寛三郎さんを恨んではいけないが
昨日 聞いていたら
もちろん部屋も万全にしていたし
彼の好物のひとつでも
用意しておいてあげられる物を……
慌てて 目につく範囲で
掃除をさささっとして
とりあえず何か
軽く食べられるものでも
あり合わせで用意しておこうと
着物も普段着だったから
少しだけ違うのに着替えて
みくりが台所へと向かった