第30章 みじかいおはなし その2 ※裏なし お相手:色々
「もう、いいよ。着替え出来たから」
「あ、あの……みくりさん」
着ていた濡れた隊服を家の人に
みくりが預けると
炭治郎の方へ歩いてくる
「炭治郎君、久しぶりだね。
ラッキーだったかも。
雨降ってなかったら
ここ、来るつもりなかったから。
会えて嬉しい」
そう 俺に会えた事を
心底喜んでいるそんな嬉しそうな
匂いをさせている恋人
会えて嬉しいと言う気持ちが
自分の中に溢れるのを感じる
「俺も…、嬉しいです。みくりさん…
あ、俺、この間の手紙の返事…を」
「いいよ、せっかく今日は
一緒に過ごせるんだもん。
手紙じゃなくて、お話…したいな?
前に会った時から、
こっち、どんな任務だったかとか
あの愉快なお友達の事とか…」
二人で並んで座って
風呂の用意が整うまでの間
他愛のない話をする
みくりが畳の上に伸ばした手に
ふと自分の手が当たって
みくりの手が冷えている事に気が付いた
「ちょっと、寒いね。さっき
温かいお茶貰ったけど…、冷えてるみたい」
「俺…で、良ければ。
暖取ってもらっていいですよ?」
そう言ってにっこりと
いつもの笑顔を浮かべていたので
すっかり 油断していた
「ん、じゃあ。
暖めて貰ちゃおうかなぁ?炭治郎君に」
「いいんですね?みくりさん……」
「炭治郎…君?」
スルッと彼の指先が
私のフェイスラインに掛かる髪を
耳に掛けて来て
今まで隠れていた耳が出ると
その縁を彼の指先が撫でて行く
「みくりさん……」
炭治郎君の指先
熱いくらいに温かくて
彼の体温を感じる
私の名前を呼ぶ その声まで
熱い熱を帯びている様に
そう聞こえてしまって
気恥ずかしくなってしまいつつも
期待……をしてしまっている
自分が居るのも 確かな事実で