第28章 可愛い君に……は お相手:煉獄杏寿郎
「カァーァ、炎柱ァー。カァー
任務ヲ伝エル、カァー」
「……要。任務か……」
彼の表情が一変して
仕事の時の顔になる
カラスから仕事の内容を確認すると
そのまま杏寿郎は寝巻を脱いで
隊服に着替えてしまった
今から……また
仕事に行くんだ……
今日 仕事から
帰って来た所なのに……
私の考えている事が顔に出ていたのか
ポンと杏寿郎の手がみくりの頭に置かれて
「すまないが。
火急の任務が入ってしまった……
俺は今から現場に向かわねばならない。
みくり……、君には寂しい思いばかりを
強いてしまって心苦しいが……」
そう言ってギュッと
身体を包むようにして
大きな逞しい腕に包まれて
抱きしめられる
「大丈夫で……すよ。杏寿郎さん。
私は、子供じゃないって、
言ってるじゃないですか。
ちゃんと、
お帰りを…お待ちしておりますので」
チュっと愛おしむ様にして
離れるのを惜しむかの様にして
頬に何度も口付けられる
「俺が戻ったら、……続きをしよう。
では、行ってくる」
そう言って
ギュウウっと強く抱きしめられて
熱い濃厚な口付けを交わす
口付けを終えて
唇を離すと
彼が困ったかのような顔をしながら
私の顔を見ていて
「すまない。みくり。
つい、…熱がこもり過ぎて
しまったようだ……。君の芯に…、
火を……つけてしまったか?」
熱い濃密な口付けをされてしまって
蕩けた様な顔をして
腰が砕けていたみくりに
杏寿郎がそう言って来て
「そんな風に……蕩けて
可愛らしい顔をしている君を残して、
仕事に赴かなければならないのは…、
俺とて、口惜しい……と
感じて止まないが」
チラッと杏寿郎が
窓辺に止まっている鎹鴉の方へ
視線を向けると
さっさとしろとその
視線が言っているかの様に見えて
「そう睨んでくれるな、要。
君に急かされずとも、
仕事には行く。名残惜しいが、
もう行かなければならないようだ」
「お待ちください、……杏寿郎さん」