第125章 ついに来た8月…~分娩第2~3期編~お相手:煉獄杏寿郎現パロ
「前…失礼しますね…」
と…看護師さんがこちらに声を掛けて来て
前開きになるパジャマのボタンを
ナチュラルに外して前を開くと
おむつだけした状態の赤ちゃんを
みくりの胸の上に
うつ伏せにさせる様にして置いて来て
「18時…42分…生まれの、
3078gの男の子ね…。
はい、お母さん、おめでとう。
視線、こっちね~。
そのまま写真撮りますんで」
そう言って先生が
胸の上に赤ちゃんを置いた状態で
写真を1枚…撮影して来て
さっきまで大きな声で
泣いてたのが嘘みたいに
今は…静かにしていて
「杏寿郎っ、赤ちゃん…ッ。
生まれた…んだねぇ…、良かった…」
「いや、生まれたんじゃなくて
奥さんが産んだんだぞ?
良く、頑張ったな。ありがとう、みくり」
「要くん…、ちっちゃいねぇ…。
それに…温かくて、可愛いねぇ…
偉いねぇ、こんなにちっちいのに
沢山頑張って、私達の所に
会いに来てくれたんだね…、ありがとう」
杏寿郎が片手を要の頭に
もう片方の手を私の頭の上に添えて来て
「奥さん。もう…こうして、彼は
生まれて来たんだからな。
彼は、もう、要じゃないぞ?」
「そうだった…。お名前…まだ
結局…聞いてないまま…だった」
何度も名前を杏寿郎に
尋ねてもはぐらかされたままで
教えて貰えないままで
今日を迎えてしまって居たんだった
「みくり、彼の名前な…、
奏寿郎だ…。煉獄奏寿郎。
奏でる…と書いて、奏寿郎」
「………ッ!!?杏寿郎ッ!
そっ…んな…、名前…いいの?」
「何年後かに…、彼に…
妹でも…生まれでもしたら…、
きっと…いいお兄さんになってくれるさ。
その名に恥じない様な、な?
奥さんは…、そうは思わないか?」
杏寿郎が…そんな風に
奏さんの事を考えてくれていて
もう…この世には…いないかも知れない
私と…雅ちゃんの中の彼…が…
月城…奏と言う存在が
この世界に確かに居た事を…
思い出させてくれるような
そんな名前を…生まれて来た
要くんの名前にしたいと言って来て
「……っ、杏寿郎ッ…ぅッ…」
ボロボロと涙が
その名前を聞いた時から止まらなくて
零れる涙を杏寿郎が拭ってくれた
「呼んでやってくれないか?
奥さん、君から…彼の名を…」
「奏寿郎…」
その名を…呼んで 胸の上に居る
小さな命を抱きしめた