第120章 夫婦でおもてなしをしよう! 後編 お相手:煉獄杏寿郎現パロ
成瀬さんがくれたその
医療用のN95マスクを付けると
きっちりとノーズワイヤーを合わせる
普通のマスクに比べると
圧迫感にも似た感覚がする
「そう言ったマスクは
息苦しいと聞いた事があるのですが…。
みくりちゃんどうですか?」
「う――んとね、意外と快適かも?
前に一時期してた、防塵マスクよりいいよ」
「どんな状況で、防塵マスクなんて
日常生活でする機会があるんだよ?」
奥さんが防塵マスクを使っていたと言う
意外過ぎる告白に錆兎がそう言って来て
「つわりが酷くて…ッ、
その炊き立てご飯が…もう…
この世界の何よりも、
邪悪な匂いだった時期があってね…。
その時の救世主が防塵マスクだよ」
一時期つわりの酷い時期に
防塵マスクで料理をしていたので
それに比べたらN95は快適なのだそうだ
「ここからだと…そんなに
ゆりの匂いは感じないが…
とりあえず、中に入るか…」
『それでは、こちらの入園券をどうぞ』
観光タクシーの運転手から
大人4名分のチケットを受け取って
下条市は中条市のお隣の市で
中条市とその北側にある上条市の
上中下の3つの市を合わせて三条と
昔から呼ばれている地域ではあるのだが
中条市のお隣の下条市は
黒豆の枝豆で有名な市で
毎年枝豆のシーズンになると
京阪神から枝豆を求める人々で
枝豆渋滞が発生する事でも有名だ
下条市は城下町で
石垣だけが残っているが
昔ながらの風情のある城下町で
観光地としても有名なスポットだ
県内でも…観光と言えば…
中条よりも下条が古くから
京阪神にも名前が知れているしな
その下条の城跡のある
中心地からは
歩いて7分程度の立地に
このゆり園はあるそうで
1万5千㎡の敷地には
約60種類の品種の
早咲き 中咲き 遅咲きの品種のゆりが
10万本植えられていると言う事で
園内に入ると 基本の定番の白いゆりに
ピンクや黄色のゆり
オレンジや赤と言うよりは
茶色に近い様な色の物の
様々なゆりが花盛りを迎えていて
「凄いな…、ゆりの花も
一所に、ここまで揃うと圧巻だな。
どうだ、奥さんっと、
わざわざ聞くまでも無いか…
その様子だと、ゆりの匂いはしないか?」
「うん、これだけの数のゆりの花が
この距離にあるのに、全然匂いしないよ?
何と言うか、無臭。限りなく無臭」
「みくり」