第25章 みじかいおはなし ※裏なし お相手:色々
無一郎に嫌味を言われても
それを気に留める事もなく
その猫はゴロゴロと喉を鳴らして
機嫌良さそうに
無一郎の足元にスリスリとすり寄る
「にしても、すっごい……間抜け面…。
ふぁあっ、見てたらこっちまで
眠くなって来ちゃった。
まぁ、折角ここまで来たんだし…。寝よ」
そう言って無一郎が
みくりから少し身体を離して
同じ桜の木に寄りかかると
長いまつ毛のついた
瞼を閉じて
うとうととまどろみ始めた
しばらくして
自分の左の肩が何か重いと
そう感じて
みくりが目を覚ますと
自分の肩にもたれ掛かって眠っている
って これ 霞柱様…だよね?
どうして? 猫しかいなかったのに?
どうして 霞柱様がここに居るの?
でも 眠ってる みたいだし
起こしちゃ 悪いよね
その眠っている顔にチラッと視線を向けると
みくりの脳に衝撃が走った
何?この寝顔っ
美少女じゃない?美少女?
これ なんて天使の寝顔?
まつ毛…凄い びっしり生えてるし
まつ毛 長いなぁ…羨ましい
そのまつ毛のついた瞼が開いて
その瞼の下の
大きな瞳が私をじっと見つめて来て
「見たでしょ?えっち」
え?えっち?…今 えっちて言われた?
「ええぇええっ?えっち?」
「そ。えっち。見たでしょ?
僕の寝顔…。ねぇ、責任…
取ってくれるよね?おねーさん」
そう言って目の前の少年は
にやりと不敵な笑みを浮かべて
「責任って、
その、寝顔見た…だけでは…」
「そうだよ?
だったら何?でも、見たでしょ?」
それは 見たには見たけども
「あの、霞柱様。
私は具体的に何をすれば…」
どう責任を取ればいいのかと
そう霞柱である無一郎に尋ねると
「ねぇ、名前…。教えてくれない?
僕に。おねーさんの、名前。
知りたいんだけど?」