第114章 今年の旦那さんの誕生日は… 後編 お相手:煉獄杏寿郎現パロ
きゅ…と杏寿郎の手を
みくりが手を伸ばして握って来て
「うん、楽しみ…だね…、お父さん」
「ああ、そうだな…。奥さん」
上ばっかりふたりして見上げていたので
首が痛くなってしまって
繋いでない方の手で自分の首を擦りながら
水槽の前から移動すると
今までいたエリアよりもぐっと
照明が落としてある暗いエリアについて
深海への旅と称されたこのエリアには
沖縄の水深200メートル以上の深さから
採取された貴重な生き物たちや
無人潜水艇の展示もされていて
「あれ。あそこの壁…見てくれ」
暗いエリアの壁にカサカサと
音が聞こえて来そうな動きで
リアルなオオグソクムシが映し出されて居て
その映像にタッチすると
そのオオグソクムシが動いたりするらしい
その先には…小さな小窓の様な
大きさの水槽に様々な
深海の生物を展示してあって
「杏寿郎ッ!!こっち、見てッこれっ」
ある水槽の前でみくりが
驚いた様子で杏寿郎を呼びよせて
この水槽を見て欲しいと指差して来る
その水槽の中に居たのは…
前に奥さんが水無瀬島に
新婚旅行に行った時に話をしていた
カイロウドウケツの中で
一生を番で過ごす…ドウケツエビで
「……丁度…、新婚旅行の時に…
あの水無瀬島のコテージで…
ドウケツエビごっこを
奥さんと一緒にしたのを思い出すな…。
そうか…これが…、
本物のドウケツエビなんだな」
杏寿郎が…耳元に口を寄せて来て
「奥さん…、どうにも…俺達は…
偕老同穴とは…、縁があるらしいな…」
そんな台詞を…熱っぽい含みのある声で
耳元で囁かれてしまえば…
どうにも…意識を嫌でもさせられてしまう…
カイロウドウケツの中に居る
その2匹のエビの姿を…
指を絡めて手を繋ぎながら
その小さな水槽を
いつまでも…2人で眺めていて
「もう…それは…。
偕老同穴な夫婦になりなさいって
神様が言ってる…って意味じゃない?」
「そうだな…、なら…するか…?
今夜あたり…、ドウケツエビごっこ。
奥さんに喜んで貰えそうな。
素敵な…カイロウドウケツを
用意してる…だがな…、この近くに…」
ドウケツエビが夫婦で住処にしているのは
カイロウドウケツと呼ばれている海綿で
そのカイロウドウケツは
ビーナスの花かごと呼ばれる程に
美しい白いガラス質の骨格をしている