第24章 1時間と30分 お相手:煉獄杏寿郎
「しのぶ様、みくり様、アオイさんっ、
急患の方々が到着しましたぁ!!」
慌てた様子できよが3人の元に来て
それぞれにしのぶの言っていた
手順通りに分かれて
急患の対応に向かったのだが…
運ばれて来た患者の待つ
処置室へ向かってドアを開くと
処置室の中央に置いてある
丸椅子の上には
自分の恋人である
炎柱の煉獄杏寿郎の姿があって
「え?どうして杏寿郎さんがここに?」
「ああ。君か、
こちらに来たらもしかしたら、
出会えるかと思って居たが。
出会えて安心したぞ」
そうニコニコと
満面の笑顔で返して来て
「あの…、もしかして軽傷の負傷者って…」
杏寿郎が自分を指さして
「如何にも、俺がそうだが?」
明らかに外傷らしい外傷もなく
着ている隊服も羽織も綺麗で
「縫わないといけない怪我だと…」
「ああ、それか。それなら、ここだが?」
創部を確認する為に
杏寿郎の前に立つと
差し出された左腕を注視する
そこにあったのは
僅か 5センチほどの小さな切創で
深さはある様だったので
確かに縫合しても良さそうだが
「これぐらいの大きさなら…、
わざわざ縫合せずとも、
ステリテープでも…。
縫うほどでない時に使う、
医療用のテープです。
傷口が離れない様に、
固定して置くものですけど」
「それは…、テープと言う位だから
貼ったら終わりだろう?
縫って欲しいんだが?」
「でも、糸と違って
抜糸しなくていいですよ?
これぐらいの傷でしたら、上から
防水性のフィルム材で
保護して頂ければ。
入浴もできますから…管理も楽ですし」
必要でしたら
保護用の防水のフィルム材も
お持ち帰りして
頂けるようにしますがと続けると
目の前の彼の表情が曇るので
「ああ、もうっ!
縫ったらいいんですね?
わかりましたよ、縫いますから」
みくりがそう返すと
曇っていた表情がパッと明るくなる