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ひみつのひめごと【鬼滅の刃/R18】

第23章 惣菜屋さんの筑前煮 後編 お相手:煉獄杏寿郎



「みくりさん?
どうして…顔を逸らされる?
俺の顔を見て…、
お答えをして頂きたいのだが?」

「杏寿郎」

その杏寿郎の様子を横目に見ていた
槇寿郎が静かにその名を呼ぶと

その場に杏寿郎が正座をして

「はい!なんでありましょうか?父上…」

「お前の帰りが、
予定より遅れたのが原因だ。
みくりさんを、困らせるな。
杏寿郎、お前が悪い」

そう淡々とした口調で言って
少しばかり困ったような表情をして
自分の伸びた無精ひげを弄ると
視線を杏寿郎から背けてしまった

鳩が豆鉄砲を食ったような
面食らった顔をして
当のそう言われた杏寿郎の方は

しばし 固まってしまっていたが

ハッとすると

「あの…、父上…。もしや…」

そう 恐る恐る尋ねると

「妙に、勘だけはいい奴だ。
そのまさかだ。だが、…ちゃんと
ご本人から承諾を得るのだぞ?
そちらはまだ…、
気掛かりが多いと見える」

「父上。お許し頂きまして、
ありがとうございます!!」

「昔から、男を
虜にするには胃袋をつかめとは
良く言う話ではあるが…。
流石に…、日本一の筑前煮は…
そちらにしか作れまい」


槇寿郎がそう言って


日本一の筑前煮 と言う言葉を
皮きりにして

みくりの脳裏に浮かんで来た


幼い頃の記憶が

鮮やかに色を伴って

鮮明に… 蘇って来て


ーーー「とーとの、筑前煮はねぇ。
とぉーーってもおいしいんだよ。
みくりも、だぁーい好きなの」


「ああ。美味い」


「でしょ?とーとの筑前煮は日本一だもん」

「こら、みくり。
日本一なんて言いすぎだぞ?」ーーー


私が 父が作った筑前煮を
日本一だって 褒めると

もう 
目が無くなるんじゃないかって位

父の目が糸みたいに細くなって
笑って喜んでくれるから…

ずっと そう

父の筑前煮を呼んでいたっけ…か



日本一の筑前煮 だって


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