第109章 ねぇ、ねぇ。ねーぇ? お相手:時透無一郎 R-15程度
「いいの?どうして欲しいか…
ちゃんと、言わないと。分かんないよ?
それに…、言わないんだったら…」
言わないんだったら…と言って来る
その声は普段の無一郎の声からは
一変して低い声で言って来て
その可愛らしい彼に
男性…を意識させられてしまうから
自分の心臓がどきどきとして騒がしい
「みくりの事…、僕の
好きにしちゃうけど…、それでもいいの?」
サァアアアッと一気に血の気が
引いて行くのを感じて…
「嫌ッ、ダメッダメッ、
無理無理無理ッ無理です、…ダメですッ」
ぐいんと自分の顔が肩に着く位に
無一郎が首を大きく傾けて来て
「ダメなの?みくり。
そんなにダメって、
全力で言わなくても良くない?
流石に、僕もちょっと、傷つくよ?
泣いちゃうかも知れないよ?良いの?」
「やっ…その…ッ、違っ、違うの。
無一郎君の事がッ、嫌って訳…じゃ…な…い」
にこっと無一郎が
笑顔になって
その笑顔があまりにも可愛くて
つられてしまってこっちも笑顔になってしまう
「良かった…。
じゃあ、いいって事だよね?」
「嫌じゃ…ないけど、
いいって意味じゃ…ないっ」
キョトンと無一郎が目を丸くして
「何それ?じゃあ、どっちなの?
嫌なの?いいの?どっち?」
それは その…っと
答えを求められてしまって
みくりはその答えを濁らせるだけで
いいとも悪いとも答えられないで居て
返事を返したくても返せなくて
黙り込んでしまって居ると
「……その…、っ、えっと…ッ、それは…ッ」
フッと…無一郎がほんの少し僅かに
その口の端を曲げると
ふぅ…と小さくため息を付く様にして
軽くにだけ肩をすくめて見せて来て
呆れ…られちゃってる…んだろうなって
こっちから…恋人同士らしい事が
したいって言い出して置きながら
そうするって流れになったら
思い切り 怖くなってしまって
尻込みしてしまってるのだから…
「ねぇ…、無一郎君…、
その、怒って…たり…、する?」
「別に…怒ってなんか…無いよ?
じゃあ…さ、しちゃう?
恋人同士…らしい事…、
一緒に、したかったんでしょ?」
「そっ、それは…無理ッ…」
「なら…、ちょっとだけ…するのは?ダメ?」
そう無一郎がこちらに言って来て
ちょっとだけなら…と
そんな気持ちが…自分の中で沸いて来る