第109章 ねぇ、ねぇ。ねーぇ? お相手:時透無一郎 R-15程度
彼こと…無一郎は
私の所に現れては
何時もの様におにぎりを要求するし
恋人同士になって変わった事と言えば
一緒におにぎりを食べるのに
出掛ける様になった事位だ
これは逢引と言えば
逢引とも言えるかも知れないが
どうにも若い十代の男女の
男女交際にしては健全過ぎる気がする
要するに…普通の恋人同士が
する様な色めいた事が…
私と彼との間には何一つなくて
私は…彼がおにぎりを求めて
私の元を尋ねて来たある日
もう 付き合うとなってから
4か月が経過していて
その日
自分がずっと抱いていた疑問を…
無一郎にぶつけてみる事にした
「ねぇ、無一郎君」
「何?みくり」
「私と無一郎君ってさ…、
その、…恋人同士…だよね?」
「うん、そうだよ?
それがどうかしたの?みくり」
「私が…思うに…、
今の私と無一郎君の関係ってさ。
一緒におにぎり食べてるだけじゃない?
それってね、お付き合い…してるって
言わないんじゃないかなぁ…って」
「何?だったら…ダメなの?
みくりとおにぎりを、
一緒に食べたいって思うのも、
一緒に食べるのが、みくりだから
美味しいって感じるのに…?」
「それは…付き合ってるって言わないッ!」
自分でも大きな声が出てて…
そう言ってしまってから
後悔したって…遅いのに…
「みくり…?どうして…?
どうして、そんな事、言うの?
分かんないよ、いつも…だって、
みくりも、楽しそうにしてたのに?」
何が間違っていたのか
どうして私がそんな事を言うのか
分からないと言いたげに
無一郎がそう言って来て
「私が…ッ、言いたいのは…ッ、
そう言う事じゃ…ない…んだ…よ…ッ」
そう…震える声で
無一郎の言葉に返したこっちだって
彼の言ってる事が…
理解なんて…出来ては居なくて
これじゃあ…まるで…
「みくり…、聴いて」
何時ものふわふわとした口調ではなくて
その言い切る様な口調には
何故か…こっちを従わせるものがあって
それは彼が…
柱…だからなのかも…知れないが
聴いてと言った彼の言葉のままに
彼の言葉に耳を傾ける