第108章 やっぱり花より団子ですか?後編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
「ホントに、綺麗だね。
昼間に青空の下で見る桜とは
また違って、いいね。夜の桜も」
周囲で桜を自分の
スマートフォンに納めている
人達の顔を見ても 皆
それぞれに笑顔を浮かべていて
「そうだな…、日本人に
生まれて良かったな。
桜の美しさは…、今も昔も変わらないし。
この先の…未来も…、変わらないんだろうな」
「何それ?変な杏寿郎…」
「みくり…、君には…
桜の花が…良く似合う…な」
「杏寿郎…?どうしたの?
そんな、杏寿郎らしからぬ事なんか
言っちゃってさ。
自分の奥さんなんだから、
口説かなくてもいいでしょ?」
こちらに向けられている
杏寿郎の視線に…
指先のひとつも動かすのが重くなって
その彼の顔を確認すると
いつもの杏寿郎じゃなくて
あっちの…大正の杏寿郎を感じるから
らしからぬ…な あの台詞は
あっちの彼が言った台詞なのだろうが
普通に歩けば …15分程の距離だ
あちこちで足を取られて
桜の花を見上げて 自分の
スマートフォンにその姿を納めて…と
して居ると それなりに時間が過ぎて居た様で
「あっ、見てっ、アレっ、
ハイビスカスみたいなのあるよ?」
ほらほらとテンションの高い
みくりが変わった桜があると
こっちに言って来て
「ああ、成程…、な。これは…確かに
ハイビスカス…ぽいし、変わった色だな」
所謂…黄緑色の八重桜なのだが…
御衣黄という品種のその桜は
黄緑色の花の中央部がピンクになっていて
パッと見ると…どうにも
ハイビスカスの花を連想させられてしまう
「珍しい…よね?
これ、見れば見るほど、ハイビスカスみたい。
こんな八重桜、私、初めて見たもん」
「俺としては、奥さんに
造幣局の桜を喜んで頂けて、光栄だがな?」
「ただ…造幣局の敷地をさ、
通り抜けて終わりってだけだと
正直思ってたからさ…、
こんなに色んな種類の桜が
ここで見られるなんて知らなかったもん」
造幣局を後にすると
そのままその隣の川沿いに
並んでいる屋台の方へと
人の流れに乗って移動して行く
「折角、屋台も出てるんだし。
ここで、食べたい物買って、
夕飯にするか?あっちで」
「そうだね、焼きそばとか
イカ焼きのいい匂いがしてるもんね…。
お祭りもコロナで無かったりしたからさ。
こう言う、屋台とかって久しぶりかも?」