第105章 夫婦のホワイトデーは… 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
杏寿郎がコーヒーを淹れている間
小あがりの畳の上に置いてある
座椅子に座って寛ぐ
「あ。忘れない様に成瀬さんに
間人カニ美味しかったよって、
LINEしておかなくっちゃ…」
そう言ってみくりが
成瀬さんにLINEをしていたから
あの夕食のフルコースには
みくりも違和感を感じていたのだろうな
LINEの返事の代りに
LINE通話が掛かって来た様で
どこで電話をしようかと
みくりがキョロキョロしていて
そのまま外になっている
テラスの方へ電話をしたままで
出て行ってしまったが
まぁ相手は成瀬さんだろうから
別に俺がその奥さんの行動に
何か嫉妬めいた感情を
感じる必要も無いんだろうが
それにどうせコーヒーを淹れたら
あっちに俺も移動するつもりだしな
自分のコーヒーと
みくりの飲むお茶を淹れながら
杏寿郎がテラスの方へ目を向けると
スマートフォンで楽しそうに
会話をしているみくりの姿が見えて
自分じゃない男と話をしてる
姿を見てるだけで
モヤモヤとする程
自分が嫉妬深い性格をしていただろうかと
そんな風に思いながらも
俺がコーヒーとお茶を淹れ終えて
テラスの方へ運ぼうとしていると
みくりが俺に気が付いて
向こうから両手が塞がってる
俺の代りにガラス戸を開けてくれたのだが
もう電話もその頃には済んでいた様で
みくりのスマートフォンは
テラスの椅子の上にあったから
「何だ?みくり。もう、
成瀬さんとの話は済んだのか?」
「うん、何か、来客中だったらしいよ?
私からLINEが来たから、今の
タイミングの方が話が出来るかなって、
掛けて来てくれたんだってさ」
話が出来なかった分を
LINEで送信してる様で
通話してないにはしてないのに
それはそれで…落ち着かない自分が居て
子供が産まれたら産まれたで
奥さんが自分を構ってくれないと
拗ねるしょうもない旦那認定を
されてしまうのではないかと
そんな事を頭の端で考えたりしながら
自分の親にお土産を送ったという事を
俺も丹後半島で撮った
写真を添えて LINEをしておいた
「杏寿郎、お茶ありがとう…頂くね」
「別に、いつもしてるだろう?
食後のお茶は俺の仕事だからな」
「あ、お湯張り…今の内に
して置いたら、丁度良い位になるかな?」