第105章 夫婦のホワイトデーは… 中編 お相手:煉獄杏寿郎 現パロ
周囲を木の枠で囲まれた机だ
暗い緑色に塗られた机の上に
円形に砂が綺麗に並んで撒かれていて
デスクライトで照らされている
そのテーブルの所には
”微小貝・有孔虫・高温石英 探すコーナー”
と書かれていて
微小貝についての説明書きがあり
大きさが2~4ミリの巻貝を
微小貝と言うらしく
「奥さん、好きだろう?小さい巻貝」
「ち、小さい巻貝…探し放題?」
つまようじとピンセットが置いてあって
顕微鏡と虫眼鏡もあるので
見つけた微小貝を観察する事も出来る
柱には微小貝の見本の拡大写真があって
縞々の模様の貝殻や
可愛いピンク色の巻貝の姿もある
「探してもいいの?」
「俺は、適当にしてるからな」
奥さんがそのテーブルの所にある
丸椅子に腰を掛けて
綺麗にライン状になっている
砂を自分の手の平に乗せて
乗せては広げて降ろして
乗せては広げて降ろしてしていて
自分の前の所に見つけた貝を並べて行く
そんなあっさりと
砂の中に混じってる小さな
2から4ミリの貝殻が見つかるのかと
俺は思ってたんだが…
探してるのかと言いたくなる程の速さで
自分の手の平に新しい砂を乗せては
指でそれを広げて見つけた貝を
自分の手前に並べて行く
「凄いよ、杏寿郎。
こんなに沢山、小さい貝殻って
種類があるんだね…。
砂場の拾えるのって白いのばっかりだからさ」
「砂場?砂場って公園とか
学校とかにあるあの砂場の事か?」
「そうだよ。砂場の砂にも
小さい巻貝があるんだよ。
砂場の砂を足したタイミングが狙い目だよ」
みくりは中条市の
山の中の出身だから
貝殻広いが海に行かずとも出来る
砂場の貝拾いは幼少期の楽しみだったらしいが
「砂場の砂に海の底の砂をね、
使う場合があるからさ、
貝殻が入ってるんだけどね?
やっぱりさ、貝殻の欠片って
鋭いから、子供が遊ぶときに
貝殻で、怪我する可能性があるから。
砂を洗浄したりする段階でね
除去してるらしいんだけど。
その除去する対象になるサイズよりも
小さい貝殻は残るだってさ」
みくりが貝殻を探しながら
砂場の砂に貝殻がある理由を
話して来て
「だから、小さい貝殻しか
砂場の砂には無いって事なんだな。
買って帰るか?小さい貝殻」
貝殻探しをしていたみくりが
その手を止めると
杏寿郎の方に向き直って来る